中国は離於島について「中国のEEZ内にある」として「離於島への海洋科学基地設置は不当」との立場だ。離於島は韓国の馬羅島から149キロ(約80カイリ)の位置にあり、中国の童島からの247キロに比べて韓国側に98キロも近い。韓国政府は2003年から離於島に海洋科学基地を設置し担当者を常駐させ管理を続けている。中国は「離於島は韓国側に近いが、両国のEEZが重なる地点にあるためEEZの境界線が確定するまで韓国の所有ではない」と主張している。国連海洋法に基づき各国は沿岸から200カイリまでEEZを設定できるが、西海は幅が狭いため韓中両国のEEZが重なる海域がある。
中国は「自国の領土は韓国よりもはるかに大きいため、機械的な中間線でEEZを区分すべきでない」と主張している。領土の大きさを考慮し、中間線よりも韓国側により近いラインにEEZを確定すべきとするいわゆる「衝平の原則」を前面に出しているのだ。この自国中心の論理に基づき「離於島は中国のEEZ内」と主張したいのだ。
これに対して境界線を確定する国際的な慣例は「等距離原則」で、韓国の西海岸や南海岸と中国大陸沿岸との中間起点をつなぐ中間線を基準に両国のEEZを区分するのが合理的と考えられる。この基準だと離於島は韓国のEEZ内となる。そのため現時点で境界線は確定していないが、韓国は離於島に海洋基地を設置した。離於島は韓国と中国の領海外にあり、EEZが重なる海域となるため領海を巡る領有権争いの対象にはならない。
そのため中国も固定構造物をPMZの外側に設置できるが、あえてPMZ西端に設置した背景には、後にEEZ境界線を確定する際、離於島に対抗するカードを準備するためとの見方もある。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者