「現実的には不可能」 共に民主・李在明候補のホテル経済論を専門家らが一斉批判 韓国大統領選

 また、限界消費性向は経済の状況によって随時変動する。極端な場合では限界消費性向が0になる可能性もある。ソウル大経済学部のアン・ドンヒョン教授は「ホテルの立場で考えると、キャンセルのリスクを考慮しなければならないため、予約金10万ウォンはすぐに使うのではなく、予約した客が実際に宿泊した後に10万ウォンを使う可能性が高い」として「後で客がキャンセルして予約金10万ウォンを返金することになれば、結局は経済の中にお金が流れていかないことになる」と指摘した。特に、政府が国民に配るお金(公的移転所得)の場合、限界消費性向は低い。通常、公的移転所得の限界消費性向は0.2-0.3程度で、政府が100万ウォンを配っても使われるのは20万-30万ウォンほどだ。

■財政を投入し続ければ国の借金が急増する懸念も

 経済というのは、ホテル経済論に出てくる例えのように一周して終わるものではない。その点についても問題として指摘されている。ホテル経済論で10万ウォンが1周回ったとき、ホテルに残されたものは、客が泊まらなかったのに新しく買ったベッドだ。匿名のある経済学者は「既に新しいベッドを購入したのに客が泊まらなかったホテルは、その後はベッドを買わないだろうし、ホテル経済論の循環論理と同じ理屈で、次は予約金として10万ウォンを受け取ってもお金を使わず、循環が起きなくなるだろう」と話した。

 結局、経済の中でお金が循環し続けるためには、新たな資金を投入し続けなければならない。政府の財政を使って李候補が好む地域通貨などの形で資金を継続的に供給してこそ、お金が回るというわけだ。しかし、財政にばかり依存していると、国の借金は増え続けることになる。

 急速に膨らむ国の借金を解決するためには税収を増やす策が考えられるが、増税は市場の活力を弱体化させる恐れがある上、国民の抵抗も大きいため、政治的には増税策は選択しにくい。経済の専門家たちは、別の方法で企業や家計など民間を活性化させることを提案する。延世大学経済学部の金正湜(キム・ジョンシク)教授は「むやみにお金を配るのではなく、企業の投資意欲と国民の消費意欲を高めるようにするのが景気を回復させる解決策だ」と話した。

カン・ウリャン記者

【図】「ホテル経済論」が仮定するお金の循環

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