中国に機密を漏えいする中国出身の韓国軍兵士たち、軍には外国系兵士の統計すらなかった

 韓国軍検察当局は今年5月、8万8000元(約179万円)の報酬を受け取り、韓米合同演習関連の文書と担当者の連絡先などを中国人民解放軍の情報組織に流出させたとして、韓国陸軍の兵長A容疑者を逮捕、起訴した。その後、軍検察当局が野党国民の力の姜大植(カン・デシク)国会議員に提出した起訴状によると、A兵長は2003年に中国で生まれ、人生の大半を北京で過ごしていた事実が明らかになった。

 韓国人の父親と中国人の母親を持つA兵長は、韓国国籍者だ。しかし、中国で母方の祖父母と長く暮らし、母方の祖父は中国の元ロケット軍将校だ。A兵長は中国の大学に通っていたが休学。2023年12月に兵役のために韓国に帰国した。前方部隊の補給兵として配置されたA兵長は、入隊後から数カ月後に中国軍の情報組織の情報員として抱き込まれた。A兵長はその過程で中国側の脅迫もあったと主張しているという。

 A兵長は5歳だった2008年に韓国で約5カ月間暮らした以外は入隊まで韓国との接点がほとんどなかった。情報機関に勤務した経験のある専門家は「生活根拠と家族が外国にあれば、該当国の情報機関にとっては捕捉が容易だ。家族を口実に脅迫をすることもたやすく、進路保障などをえさに買収することも簡単だと判断するだろう」と話した。

 しかし現在、韓国軍にはこのように事実上「二つの祖国」を持つ兵士の軍生活適応や国家観確立のための教育が行われていない。韓国国防部の元高官は「将校や副士官は身元調査をするが、徴兵時にその人物の背景を確認、分類する手続きはない」と話した。一般兵士が取得できる情報水準は低く、その必要性は低いという判断もあるが、法的根拠や関連政策がないことも一因だ。

 2009年までは「外見上明らかな混血児または父方で成長しなかった混血児」の場合、兵役免除を受けることができた。2010年に兵役法を改正し、同条項は削除された。少子化で兵力資源が減る中では避けられない変化だった。韓国籍を持つ男性で国籍を維持する意思があり、身体が健康であれば、どんな背景の人物であれ兵役に就く可能性が高くなった。

 それに加え、国際結婚の増加に伴い、韓国社会が国際化するにつれ、両親の片方が外国人であるか、両親ともに外国出身で韓国に帰化した外国系兵士が増加している。兵役法が改正された2010年に51人だった外国系兵士は2018年に1000人を突破した。現在では数千人に上ると推定される。問題は「増加傾向」にあるという事実しか分からず、正確な数字さえ集計されていないことにある。

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