中国に機密を漏えいする中国出身の韓国軍兵士たち、軍には外国系兵士の統計すらなかった

 韓国国防部は「多文化家庭(外国にルーツを持つ家庭)出身者かどうかを別途識別すること自体が差別になりうる」という理由で、2016年以降は関連統計の作成を中断した。国防部部隊管理訓令第122条には、「兵営内の将兵に対し、アンケートや別途の調査を通じ、外国系かどうかを識別する活動はできない」と明記されている。国防部関係者は「国家人権委員会が多文化家庭の統合を強調していたためだと聞いている」と話した。しかし、人権委関係者は「人権委が国防部に外国系の将兵を識別しないよう勧告をしたことはない」と説明。「識別禁止措置のせいで、むしろ(外国系の兵士の意識を)統合するための教育や支援もなされておらず、分類が必要ではないかとの意見もある」と語った。

 多文化家庭で生まれる人が増え、統計庁は2008年から関連統計を出している。2009年以降は毎年の新生児全体の4~6%が多文化家庭で生まれている。今後韓国軍の5%程度は、外国との血縁関係を持つ兵士が占めることになることを示している。

 韓国国防研究院国防人材研究センターのホン・スクチ研究員は昨年1月、国防論壇で「2030年には約1万人に達する外国系の兵士が入隊することになると予測される」と指摘した。多文化家庭の新生児統計に基づき、兵役対象を算出すると、外国系の兵士が軍内で5%程度を占めるとみられる。満18歳になった男性のうち87%が兵役に適合する判定を受けると仮定すると、今年は4400人程度の外国系兵士が入隊したと予想される。2031年には9700人を超える。

 国防部は外国系兵士の増加に備え、2012年に軍人服務規律を改正し、「国家と民族のために忠誠を尽くし」で始まる入営・任官宣誓文の「民族」を「国民」に変更した。2013年には「多文化軍隊対策総合対策」を策定した。2019年には「軍人の地位および服務に関する基本法」を改正し、「軍人は多文化的価値を尊重しなければならない」という条項を盛り込んだ。国防部長官が多文化的価値の尊重と理解のための教育を毎年1回以上実施しなければならないという条項もある。

 しかし国防精神戦力院の元研究員クァク・テファン博士は昨年発表した「我が軍と多文化」と第する論文で、「こうした変化は『字面』だけに限られる」と評した。2016年以降、外国系兵士の現況把握が中断され、実質的な政策的動きも失われた。クァク博士は同論文で軍が外国系兵士を事実上「無視、放置」しているとし、「多様な文化的背景を持つ人たちが戦友として呼吸を共にしなければならない将来の兵営で結束を保障できなくなるのではないか」と懸念した。

 志願兵の割合が高い空軍・海軍はまだそうした問題が顕在化していないが、徴兵が多い陸軍では多文化政策の不在で適応上の問題に直面する兵士が既に出ているという。上官の指示を理解できないほど韓国語が下手な外国系兵士がいかなる支援もないままで前方部隊に配置されるケースもあるという。指揮官は裁量で彼らを管理しなければならないため、現場が苦しんでいるという話もある。

 現在、海軍大学に勤務するクァク博士は本紙の電話取材に対し、「外国系の兵士が外国の情報員として抱き込まれるといった問題は、スパイ防止部隊がもっと熱心に活動すれば防げると考える」と話した。それ以前に多文化軍の国家観確立、韓国語・韓国文化に不慣れな外国系兵士の支援など実質的な問題も多いとの指摘だ。

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