米国のヘグセス国防長官は21日(現地時間)、フィリピンのマルコス大統領に対し「米国はフィリピンとの相互防衛条約を引き続き忠実に守る」とした上で「この条約は南シナ海を含む太平洋全域で発生する米軍、航空機、政府所有の船舶などに対する武力攻撃に適用される」と説明した。南シナ海と東シナ海で米中が衝突した場合、フィリピンに対して米国側に付くよう求めたのだ。
米国のコルビー国防次官は同日X(旧ツイッター)に「韓国と同じくアジアの同盟国は防衛予算の増額や集団的防衛力を強化することが重要だ」「国防総省はアジア太平洋における集団防衛を強化するため、国務省とも緊密に連携している」と投稿した。12日付のフィナンシャル・タイムズによると、コルビー次官は日本やオーストラリアに対しても「米中が戦争すればどんな役割ができるか」と問いただしたという。
コルビー次官が言及した「集団防衛」がいかなる概念かはまだ明確ではない。北大西洋条約機構(NATO)による集団防衛は「一国に対する武力攻撃を全体への攻撃と見なす」と定めた同条約第5条に基づき、加盟32カ国のうち1国でも攻撃を受ければ他の加盟国が集団で対応するという概念だが、このような形式に韓国政府は懐疑的だ。ある韓国政府筋は「現在インド太平洋地域にNATO式集団防衛の概念は存在せず、その適用も構築も現実的に簡単ではない」とコメントした。
しかし米国と日本は「インド太平洋地域における集団防衛条約は必要」と主張している。日本の石破茂首相は昨年9月「アジア版NATOを創設し、中国とロシアと北朝鮮に対する抑止力を確保しなければならない」と発言した。米国のラトナー元国防次官補も今年5月「太平洋防衛条約」の締結を主張している。
日本は東シナ海と南シナ海を一つの戦区とし防衛戦略を統合的に運用する「ワン・シアター」と呼ばれる概念を米国、オーストラリア、フィリピンに提案し同意を得た。これら4カ国の安全保障協議体「スクワッド」が集団安全保障条約の基盤になるとの見方も浮上している。金聖翰(キム・ソンハン)元国家安保室長は「米国は韓半島は在韓米軍、台湾海峡は在日米軍として双方を別の戦区としてきた。しかし台湾海峡と韓半島は互いに危機を引き起こす関係にあるため、事実上の『統合戦区』を目指すのは米国も効果的と考えている」と述べた。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者