「楊平公興地区開発特別待遇」疑惑に関連して閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)チームに出頭して取り調べを受けた後、命を絶った楊平郡庁公務員Aさんの事件。この事件を巡ってAさんの弁護人が「故人の調書に、尋ねてもいない質問と回答が書き込まれていた」として、具体的な強圧捜査の状況を公開した。
【表】取り調べ受けた公務員男性が自死 特別検察官と遺族側の主張
Aさんの弁護人を務めるパク・キョンホ弁護士は14日、ソウル市鍾路区の特検オフィス前で記者会見を開き、このように発表した。パク弁護士によると、全40ページから50ページほどのAさんの被疑者尋問調書の最終2ページには、先行して取り調べを終えた別人の供述内容がそのまま写し書きしてあり、Aさんが「はい」と答えたことになっている。
当該調書には「郡庁の内部電話で郡守が電話してきて『よく見てやって、きちんと処理してほしい』という電話がかかってきたか」という質問があり、Aさんが「はい」と答えたと書き込んであるのだ。パク弁護士は「これは事実と異なるが、Aさんは当時あまりにも苦しくて、訂正を言えなかった」と説明した。また「施工会社の書類が届いたらそのまましてやれ、と郡守が指示したのか」という質問に「はい」と答えたことになっているが、これもまたAさんは回答しなかったという。
パク弁護士は「きのう(13日)特検に被疑者尋問調書と深夜調査同意書についての閲覧複写申請を行った」とし「文書を検討した後、違法に捜査した捜査官たちを相手取って職権乱用と虚偽公文書作成などで告発する計画」と説明した。人権保護捜査規則などでは午後9時から午前6時までは捜査を原則的に禁止しているが、被疑者などの要請がある場合は深夜の取り調べができる―と定めている。パク弁護士は「Aさんは口頭で深夜の取り調べに同意したが、書面同意は受けなかったと言った」と主張した。
またパク弁護士は、他の事情聴取対象者に対しても強圧捜査が行われた状況を確認した、と明かした。パク弁護士は「Aさんと面談した後、特検の取り調べを受けたチョン主務官と退職したパク課長に連絡を取り、無理な捜査が行われていることを確認した」「10人くらいの名前を書いた名簿を渡して『この中から請託した人間を選べ』と名指しさせ、その人物が頼みごとをしたかのように強要するというやり方だった」と説明した。
今月10日に自宅で亡くなっているのが発見されたAさんは、今月2日に特検に呼び出され、被疑者として取り調べを受けた。その後、Aさんは3日に作成した自筆メモで特検の懐柔と圧迫があったと主張した。Aさんは特検の取り調べを終えて自筆メモを作成したほかにも、知人と電話をして同様の心境を伝えていたという。
この日のAさんの告別式は、午前8時20分から楊平郡庁駐車場で執り行われた。
キム・ナヨン記者