ドローン攻撃にミサイルで報復…ウクライナとロシア、停戦交渉中も激しい応酬

米国が双方の代表団と停戦に向けた交渉
ゼレンスキー大統領「失敗すれば別の選択肢」

 ウクライナとロシアの戦争が地中海にまで拡大し、ドローンとミサイルを使った双方の攻撃が激しさを増している。その一方で米マイアミでは終戦に向けた米国と双方との外交交渉が活発に行われた。

【写真】ロシアのタンカーがドローン攻撃を受けて炎上する様子

 ウクライナ保安庁(SBU)は20日「ウクライナ軍は前日に国境から2000キロ離れた地中海の中立海域でロシア『影の船団』のタンカー『ケンディル』をドローンで攻撃した」と発表した。戦争が始まって以来、ウクライナが黒海ではなく地中海で軍事作戦を行ったのはこれが初めてだ。

 ロシアにとってタンカーは西側諸国の制裁をかわす戦争の資金源となっていることもあり、SBUはこのタンカー攻撃について「前例のない特殊作戦」と説明している。先日もウクライナ軍は黒海やカスピ海の石油施設を相次いで攻撃したが、今度は戦線を地中海にまで広げ、ロシアに対する圧力を最高レベルに高めた形だ。

 ロシアは直ちに報復に乗り出した。ロシア軍は同日夜にウクライナ南部の穀物輸出拠点オデーサの港湾施設に弾道ミサイル攻撃を行った。この攻撃で7人が犠牲になり、15人が負傷した。ロシアのプーチン大統領は「はるかに強力な報復を行う」として一歩も引かない考えを明確にした。

 双方が攻撃を激化させる中、米フロリダ州マイアミでは停戦に向けた交渉が行われた。ウィトコフ特使とトランプ大統領の娘婿クシュナー氏を中心とする米国代表団は今月19日にウクライナのウメロフ国家安全保障・国防会議書記らウクライナ代表団と高官協議を行い、翌20日にはロシアのキリル・ドミトリエフ大統領特別代表らロシア代表団と交渉を行った。

 ロシア側は停戦に比較的前向きだったという。プーチン大統領の特使を務めるドミトリエフ氏はSNS(交流サイト)にマイアミの太陽を投稿し「雲の間から出てきた光」と紹介した。これに対してウクライナのゼレンスキー大統領はメッセージアプリのテレグラムを通じ「停戦に向けた米国の努力が成功しなかった場合、別の選択肢を検討する」との考えを明らかにした。ただし米国が提案した3カ国高官会談についてゼレンスキー大統領は「成果があれば支持する」と表明している。

 専門家はウクライナ軍が地中海で行ったロシア・タンカーへの攻撃について「トランプ大統領が進める停戦交渉で主導権を確保し、交渉力を最大限に高める狙いがある」と分析している。

ワシントン=朴国熙(パク・ククヒ)特派員

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