被告人・尹錫悦に一審無期懲役を言い渡した池貴然判事は進歩なのか、保守なのか【コラム】

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に無期懲役を言い渡した池貴然(チ・グィヨン)部長判事は当初、事件の割り当てを受けた際、「華僑」だといううわさに苦しめられた。人物情報に出身小学校の記載がなく、名前に「貴」の字が入っているせいだった。そんな池判事が昨年3月、尹・前大統領の勾留取り消し決定を下すと、前大統領支持者の間からは「ののしって申し訳ない」「華僑から韓国人になった」という反応が出た。

【重要証拠】ミミズ文字を正書したら「議員逮捕リスト」に進化した洪壮源メモ

 逆に、進歩(革新)系の「共に民主党」は「風俗店接待」疑惑を提起して池判事を攻撃した。証拠は無かったが、支持者たちは池判事をつるし上げ続けた。さらには同僚判事たちからも攻撃を受けた。親切なのだが多少軽く見える裁判態度を巡り、人身攻撃と言える「非難メール」を送ったという。ある判事は「池部長はあらゆる屈辱に耐えたが、同僚の攻撃には最も心を痛めた」と語った。

 このように池判事に対する反応は、同じ陣営内においても冷水と温水を行き来した。池貴然は進歩なのか、保守なのか。「判事は判決文で語る」というので、1233ページの判決文を読んだ。

 最大の争点は「大統領が内乱罪を犯すことがあり得るか」だ。これを説明するために、皇帝に対する反逆を内乱罪で処罰していたローマ時代にまでさかのぼっている。さらに、イングランド王チャールズ1世が登場する。議会を解散させて反逆罪により斬首されたこの人物は、国家の主権が国王から議会に移ったことの象徴だ。こんにちでは、国家の存立を脅かしたり憲法機関の機能をまひさせたりする行為は、誰であろうと内乱罪で処罰される。裁判部は日本・米国・ドイツ・台湾・フランス・スイスなどの立法例と学説・判例を通して示した。

 非常戒厳宣布が内乱になり得るかどうかも重要な争点だ。これまで「非常戒厳は大統領の固有権限」と「条件を備えていない非常戒厳は内乱」という主張が平行線をたどっていた。裁判部は、非常戒厳を宣布すべき状況であるかどうかは大統領の判断領域だとした。それでも、国会に軍隊を送って機能をまひさせようとしたことは、憲法上の権限行使という外観を有する内乱罪だと見なした。

 もちろん、現実的な必要性を理由に高位公職者犯罪捜査処の内乱罪捜査権を認めたことや、電話の内容と食い違っている郭種根(クァク・チョングン)前特殊戦司令官の供述を証拠採用した部分などは論争になり得る。それでも、この判決は、人々が疑問を持っている部分を考え抜き、掘り下げようとした。判決の「説得的機能」を比較的忠実に遂行したのだ。「大統領は野党の横暴を耐え忍ぶべきか」もそうだ。裁判部は、先進国の場合、上下二院制や国会解散権など対立を解決する制度設計があると指摘した。韓国政界がとっくに議論していなければならなかった部分だ。

 池貴然部長判事は、保守でも進歩でもなく、単に「池貴然」であるに過ぎない。各自の希望に基づいて彼を非難したり持ち上げたりしていただけだ。どんな結論であろうと反対側からはののしられることが避けられない「内乱裁判」において、手続き的満足感でも与えたならば、意味のある判決だ。双方から攻撃を受けてきた池部長判事の事例は、政治的対立を扱う司法府の態度について、あらためて考えさせる。

梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲「内乱首謀」被告人・尹錫悦に一審無期懲役を言い渡した池貴然部長判事

right

あわせて読みたい