性労働者は「先駆者」か、それとも「被害者」か…米左派内で意見二分

「性労働(sex work)も自由市場経済に参加するもう一つの労働」と主張
娼婦・売春婦の代わりに「性労働者」へ…UCLAの講義では「エロチックワーク」と表現
米国の人権団体・NGO(非政府組織)・世界保健機関・アムネスティ・インターナショナルまでが「性労働の権利」を承認
米国全体の雰囲気は売春の処罰強化傾向

 左派だからといって、全員が「性労働も労働だ」という主張に賛成しているわけではない。しかし、この進歩的な文化的左派は、売春に否定的な左派の女性人権論者たちを「原理主義的フェミニスト」と見なしている。

 伝統的な進歩主義者やフェミニスト、人身売買反対団体は皆、売春を本質的に抑圧的なシステムであり、金と権力を持つ男性たちが社会で最も脆弱(ぜいじゃく)な人々を搾取するもう一つの方法だと見なしている。性犯罪者ジェフリー・エプスタインが女性の性を搾取した代表的な事例であった。

 2018年、第1期目のトランプ大統領が署名した、インターネットプラットフォームによる売春のあっせんや人身売買の助長を禁止する法案「FOSTA-SESTA」が、連邦上下両院で超党派のほぼ満場一致で可決されたのもこうした文脈によるものだった。反対した少数派は、インターネット上の「表現の自由」が制限されることを懸念していた。

 米国の伝統的な左派・女性団体は、売春婦を犯罪者ではなく被害者と見なし、法執行を強化して売春の需要を減らすことを目標としている。売春は家庭内暴力・セクハラ・強姦(ごうかん)と同様に、男性の権力に深く根ざした虐待犯罪行為であると見なしている。

 これとは対照的に、急進的な文化的左派は、セックスワーカーを「先駆者(trailblazer)」と見なす。「セックスワーク」は、女性が自己決定権を実現するもう一つの職業である。従って、「完全な非犯罪化」を主張する。性行為の売買を規制する全ての法律を廃止すべきだというのだ。

 自らをこの業界のベテランと呼ぶケイトリン・ベイリー(39)は、17歳高校生の頃から高級コールガールとして働き、20代は年上の裕福な男性と関係を持ち、経済的支援を受けていた。彼女は最近、自身のポッドキャストで「フェミニズム運動が始まって以来、白人・中産階級が大部分を占める女性集団が, 男性中心の宗教的・保守的な団体と結託し、他の女性たちの(性労働という)選択を統制しようとしてきた」と述べ、完全な非犯罪化を主張した。

 WSJは、ベイリーのような主張が1973年のCOYOTE(Call Off Your Old Tired Ethics・古くて退屈な道徳観は捨てろ)という急進的な運動から始まり、1980年代のフェミニズム内部でのいわゆる「セックスウォーズ(性戦争)」を経て、最近ではより広範な文化的影響力を得るようになったと報じた。

 続いて、米国内の代表的な人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)、アメリカ自由人権協会(ACLU)、中絶の権利を主張するプランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood)、国連機関である世界保健機関(WHO)に至るまで、この急進左派の主張に同調し始めた。

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