性労働者は「先駆者」か、それとも「被害者」か…米左派内で意見二分

「性労働(sex work)も自由市場経済に参加するもう一つの労働」と主張
娼婦・売春婦の代わりに「性労働者」へ…UCLAの講義では「エロチックワーク」と表現
米国の人権団体・NGO(非政府組織)・世界保健機関・アムネスティ・インターナショナルまでが「性労働の権利」を承認
米国全体の雰囲気は売春の処罰強化傾向

 2022年までの30年間、HRW事務局長を務めたケネス・ロス氏は「誰もが貧困の撲滅を望んでいるのに、なぜ貧しい女性たちには自発的な性労働という選択権を否定するのか」「人権の本質は、個人が自らの選択をする権利を尊重することであり、性労働者は性労働を選択できるべきだ」とWSJに語った。

 国際人権団体である「アムネスティ・インターナショナル」も方針を変更し、性労働を「成人間の自発的な売春は原則として合意に基づく行為」と規定した。

 2019年4月、10代後半~20代前半の女性を対象とした雑誌『ティーン・ボーグ(Teen Vogue)』は「なぜ性労働は真の労働なのか」という記事を掲載した。その中で、急進左派陣営は売春の非犯罪化に反対した映画女優のケイト・ウィンスレット、アン・ハサウェイ、エッセイスト兼プロデューサーのレナ・ダナムらを批判した。

 性労働を完全に非犯罪化しようという主張は、米国で極めて進歩的な傾向にあるとされるフォード財団、オープン・ソサエティー財団、オーク財団やジェフ・ベゾスと離婚したマッケンジー・スコットらから多額の支援を受けている。WSJは、「完全な非犯罪化」モデルは、警察力の縮小や収監者数の減少を図る左派運動、マリファナ合法化運動とも結び付いていると報じた。

 興味深いことに、売春を合法化しようという主張には、伝統的な左派も急進的な左派も、いずれも反対しているという。伝統的な左派フェミニストたちは、合法化すれば女性の搾取がかえって正常な現象になりかねないと判断し、反対している。急進的な左派は、合法化を通じて登録・健康診断の義務化、店舗や地域の制限、税金・免許の賦課などの規制が入り、自由な取引が制限されると見ている。

 米国全体としては、売春は依然として違法である。むしろ近年、売買春の需要を抑制するため、多くの州で初犯から重罪として扱ったり、買春者への処罰を強化したりしている。

 非犯罪化を主張する側は、自由な取引が行われれば、アクセスが容易になり、人身売買の事例も減少すると主張する。

 現実はそうではなかった。WSJは2002年に売春を合法化したドイツの場合、性産業がはるかに拡大し、店舗型売春が増加してベルリンだけで500以上の売春店ができたと報じた。1日100万人の男性が性サービスを購入し、世界中から性観光目的の観光客が殺到したことで、人身売買の事例も増えたという。

イ・チョルミン記者

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