「高麗青磁の最大の『故買屋』は伊藤博文」

『韓国近代美術市場史資料集』を出版したキム・サンヨプ文化財庁鑑定委員
作品の写真だけでも3160点
20年にわたり、植民地時代の競売図録を収集…古美術品の流通経路を確認
北朝鮮の国宝になった金弘道の「豹皮図」も

 檀園・金弘道(キム・ホンド)=1745-1806ごろ=の「豹(ひょう)皮図」は、植民地時代に競売にかけられたものの、その後北朝鮮の国宝になったという事実も新たに明らかになった。1941年9月28日、京城美術倶楽部で開かれた「府内某氏愛蔵品競売会」に「伝檀園筆」として出品された。この絵は現在、平壌の朝鮮美術博物館が所蔵する北朝鮮の国宝だ。キム委員は「当時、競売を通じ日本に渡ったが、在日本朝鮮人総連合会関係者を通して北朝鮮に渡ったと推定される」と語った。2006年、ソウルの国立中央博物館で開かれた「北方の文化遺産-平壌から来た国宝」の展示に出品され、韓国で初めてその存在が知られた。キム委員は「植民地時代の競売には『金弘道の絵と推定』と出ていたが、北朝鮮で金弘道の本物と判断されたとみられる」と語った。

 現在は行方が分からない作品もある。1936年10月11日、京城美術倶楽部の競売会に李寅文(イ・インムン)=1745-1821=の山水画が出品された。朝鮮総督府の高官、小宮三保松の所蔵品で、作品には秋史・金正喜(キム・ジョンヒ)の収蔵印も残っていた。キム委員は「楽善斎(朝鮮王室)→秋史・金正喜→小宮という収蔵家を経て、おそらく日本の個人収集家に売られたのだろう。本書は、植民地時代に売られて所在が分からない韓国文化財を追跡する1次資料になるだろう」と語った。

 10年にわたって続いた「安堅(アン・ギョン)論争」にも終止符が打たれた。キム委員は、京城美術倶楽部が36年に発行した競売図録を根拠に、「夢遊桃園図」の安堅が描いたといわれていた「青山白雲図」が、実は中国・宋代の絵に印章と文を添えたものだということを明らかにした。

 キム委員は「本書は『むしろを広げた』だけ。今後、これらの資料を通していろいろな話の種が見つかり、失われた文化財の所在把握もできる公論の場が広がることを願う」と語った。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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