文政権時代に「住宅統計は事実と異なる」と青瓦台に訴え続けた「真の公務員」がいた【独自】

 文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2019年7月初め、韓国不動産院住宅統計部の職員A氏は、青瓦台と国土交通部の不動産政策担当者らに過去1週間の全国のマンション価格変動に関する統計報告書をメールで送った。報告書にはソウル地域のマンション価格が前週比で平均0.02%上昇したという内容が含まれていた。

【写真】18年11月、会議に出席した金秀顕青瓦台政策室長(右)と金賢美国土交通部長官(いずれも当時)

 しかし、A氏はメールの「本文」には別の話を書いて送った。「実際の市場の状況は(上昇率が)0.1%以上とみられる」と書いたのだ。ソウル地域の実際のマンション価格上昇率は不動産院の統計上の上昇率の5倍を超えるという指摘だった。不動産院の統計報告書は公式にはA氏をはじめとする不動産院職員らが全国のマンション価格を調査して作成したものだ。それでもA氏は自分が直接作った統計報告書を送る際、「この統計は事実ではない」と書いていたに等しい。

 これは当時、A氏をはじめとする不動産院職員が青瓦台と国土交通部の圧力で、虚偽の統計を作成していたためだ。不動産院職員は自分たちが作成した虚偽統計が市況とかけ離れていると指摘する文章を青瓦台や国土交通部に送り続けていたことが分かった。

 今年9月、監査院が発表した文在寅政権の国家統計操作疑惑に関する監査中間結果によると、2017年6月に当時の張夏成(チャン・ハソン)青瓦台政策室長は不動産院が週1回実施している「週間マンション価格動向」調査の中間集計値を持参するよう命じた。この調査は本来、不動産院の調査員が全国の標本マンションを現場調査し、7日前に比べて価格がどれだけ変動したかを把握するものだ。しかし、張室長の要求に応じ、不動産院は前週の調査から3日経過した時点でマンション価格の変動を「中間調査」しなければならなくなり、その中間調査結果は青瓦台と国土交通部に「中間値」という名称で報告された。元々実施していた調査の結果は「速報値」「確定値」という名称で報告された。

 青瓦台と国土交通部は事前に提出を受けた「中間値」よりも最終集計された上昇率が高かった場合、不動産院に上昇理由を示せと要求するなどして、不動産院職員に圧力をかけた。不動産院幹部には「統計操作」に協力しなければ、不動産院の組織と予算をなくすと脅した。結局調査員は直接調査したマンション価格ではなく、それを勝手に削った価格を入力し、それに基づく虚偽の上昇率さえも高いと判断すると、不動産院本社の職員が上昇率をさらに削った。

 A氏をはじめとする不動産院住宅統計部の職員は調査員たちが送ってきた調査結果を取りまとめ、マンション価格の上昇率を算出する業務を担当していた。上昇率を勝手に下げる操作も直接行わなければならなかった。操作された統計は青瓦台と国土交通部の不動産政策担当者にその都度メールで送った。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=イ・チョルウォン
  • 文政権時代に「住宅統計は事実と異なる」と青瓦台に訴え続けた「真の公務員」がいた【独自】

right

あわせて読みたい