文政権時代に「住宅統計は事実と異なる」と青瓦台に訴え続けた「真の公務員」がいた【独自】

 本紙の取材を総合すると、監査院はA氏らがメール本文に自分たちが操作した統計は事実ではないと告発する内容を書いて送信していたケースが複数あることを確認した。メール受信者の中に統計操作を直接指示したか圧力を加えた人物だけでなく、他の不動産政策担当者も含まれていたためとみられる。A氏は監査院の調査に対し、「政策担当者に実際の市況を正確に知らせたかった」と答えたという。

 監査院が確保したこうした「告発コメント」の中には、「実際の状況は我々が報告している統計とはかなり異なる」という直説的な内容もあったという。19年5月に青瓦台と国土交通部にメールで送られた統計ファイルでは、ソウル市松坡区のマンション価格が下落したことになっていたが、同じメールの本文には「松坡区は蚕室地区の上昇率が高く、区全体で上昇率がプラスになっても全くおかしくない」と記されていた。

 19年6月には18年末から下落傾向を示していたソウルのマンション価格上昇率が不動産院が操作した統計でも上昇に転じたが、国土交通部は当時、不動産院に対し、「このままだと、私のライン(担当部署)は全滅だ。あと1週間だけマイナスということでお願いできないか」と価格が下落したように数値操作を要求した。不動産院職員は青瓦台・国土交通部にソウルのマンション価格が前週比0.01%下落したと改ざんした統計を送りながらも、メールの本文には「市場は既にプラスに転じた。(民間の)KB不動産の統計では2週間前からプラスになっている」と書いた。

 マンション価格が高騰する状況でも不動産院が統計上価格上昇率を低水準を維持したため、多くの市民団体が18年から不動産院の統計数字は改ざんされていると指摘し始めた。その際にも不動産院職員はメールに「市民団体の主張が正しい」と書いて送ったという。

 監査院はこうしたメールを受け取った青瓦台、国土交通部の担当者が不動産院の統計が操作されていることを知らなかったはずはないとみているという。しかし、メール受信者のうち、統計操作をやめさせるために動いた人物はいなかったという。メールで当局に告発コメントを送ったA氏は、本紙の電話取材に対し、「(そういうコメントを)少し書いたかもしれない」と述べながらも、「以前のことなので、どんな内容を書いたかよく覚えていない。監査院の監査や検察の捜査が行われており、答えられない」と話した。

 不動産院職員の告発は、トランプ政権当時の18年、米政府高官がニューヨークタイムズに「トランプは同盟関係には関心がなく、金正恩(キム・ジョンウン)とプーチンに好感を示している」と暴露する寄稿を行った事件を思い出させるとの声もある。テイラー元米国土安全保障省の首席補佐官は20年、自分がその寄稿を書いた高官だと明かした。

キム・ギョンピル記者

【写真】18年11月、会議に出席した金秀顕青瓦台政策室長(右)と金賢美国土交通部長官(いずれも当時)

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