山の陰に隠れた北の長射程砲、韓米の偵察機が密着監視を再開

【韓国の安全保障、正常化に向け始動】対北監視活動、どう変わるのか

 北朝鮮による1回目、2回目の偵察衛星打ち上げの際には軍事合意の効力停止問題を持ち出さなかったのに、今回は措置を取ったことについて、国防部(省に相当)の関係者は「イスラエル・ハマス戦争など幾つかの状況を見て、これまで軍事的に忍耐してきた制限事項を克服すべきだと判断した」と明かした。さらにこの関係者は「1回目、2回目の打ち上げ時は(北の衛星の残骸物を)引き揚げを行って分析した結果、北朝鮮の諸能力は高くないと判断した」としつつ、「最近は、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)が首脳会談を通して衛星打ち上げ技術の協力を行い、衛星体についての技術的進展で、北朝鮮がこれまで持っていなかった高高度からの監視偵察能力を持つに至ったと評価した」と説明した。

 今回の措置に伴って、韓米両軍は各種無人機や偵察機などでの対北監視偵察を飛行禁止区域なしに実施できるようになった。在韓米軍が運用しているRC12X「ガードレール」、EO5S「クレイジーホーク」などの戦術偵察機も、DMZ近くでの偵察飛行が可能になった。国防部関係者は「軍団、師団級無人機が飛行禁止区域のせいで後ろに下がって作戦を遂行せねばならず、これにより監視がなされない遮蔽地域があった」とし、「今後、韓国の無人機などをDMZ近くで運用することになるだろう」と語った。

 一部では、北朝鮮が米国のグローバルホーク無人偵察機、リーパー無人攻撃機と極めてよく似た戦略無人偵察機を開発し、試験飛行まで実施した状態なので、既に「MDL偵察飛行禁止」は無意味だという指摘もなされている。

 専門家らは、今回の措置について、対北監視偵察の盲点などを補完するための不可避の選択だったと語った。朴元坤(パク・ウォンゴン)梨花女子大教授は「軍事合意の目標が衝突を防止し、信頼を構築するためのものであるなら、相互の監視偵察をむしろ拡張・許容しなければならないのに、9・19軍事合意は正反対のことをやった」とし、「歴史的に前例を見出し難い形態のボタンの掛け違いを正すもの」と語った。

 韓国国防研究院安保戦略研究センターのイ・ホリョン所長は「1条3項のみの部分的な効力停止を行ったのは、北の偵察衛星強化に焦点を合わせたもので、賢い戦略的選択だった」とし、「今後の偵察衛星のさらなる打ち上げ、7回目の核実験など追加挑発に備えて、軍事合意1条3項(軍事訓練、海上緩衝区域など)などを残しておいた」と語った。

ユ・ヨンウォン記者

【写真】高高度偵察機U2Sと北の長射程砲部隊

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