韓国の「性売買(売買春)特別法」が憲法に違反しているかどうかの違憲法律審判を申し立てたのは、元売春婦のAさん(44)だ。Aさんは清凉里の風俗街で働いていた2012年7月、大学生から13万ウォン(現在のレートで約1万4000円)を受け取り性行為をしたとして、売春の罪で略式起訴されたが、後に正式裁判を申し立てた。

 Aさんは裁判中、性を売る女性を処罰することは基本権を制限するものだとして違憲法律審判を申し立て、裁判所はこれを受け入れ憲法裁判所に審判を請求した。

 1男3女の末っ子として生まれ、幼いころに両親を亡くしたAさんは、家計が苦しく高校2年生のときに学校を中退したという。美容院や飲食店、カフェなどで働いたが貧しい暮らしから抜け出せず、28歳のときに自ら風俗あっせん業者を訪ね、04年に清凉里で働き始めたとされる。

 Aさんは違憲法律審判を申し立てた後、さまざまなメディアのインタビューに応じ「何回捕まっても、何回罰金を払わされても、食べていくためにこの仕事をしなければいけない。最も底辺の仕事だが、労働力を売ってカネをもらう厳然たる職業だ」などと語った。生計を立てるため自発的に売春する女性までも国が処罰することは不当だとの主張だ。Aさんは「多くの売春女性が突然仕事を失えば、ホームレスになったり自殺したりするかもしれない」とも語った。また、売買春を一部合法化すれば、児童や女性に対する性的暴行も減ると訴えた。

 Aさんは、違憲法律審判を申し立てる上で売春女性と風俗店でつくる団体「ハント全国連合会」の支援を受けたとされる。同連合会は12年7月「売買春は被害者のいない犯罪であり、処罰の必要性は高くない。害悪の程度に比して処罰に多額の費用がかかるという副作用もある」とし「性の搾取や売春の強制のみを処罰し、自発的な売買春は犯罪から外すか、一部合法化すべきだ」と訴えた。

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