「数千もの人々を殺してしまうに至ったその都市で、私たちは今も暮らしており、今またその闘争のただ中にある」。フリーランスの作家をしている著者は、多くの民族が共に暮らしていく都市・東京で1923年に起こった事件に注目し、その現場を踏査して資料を集めた。それは、関東大震災直後、数多くの朝鮮人が虐殺された記録だ。日本のある小説家が「読んでいくのがつらく、苦しかった」とこぼしたほどに、同書の内容は残酷だ。

 ところでこの惨禍には、歴史的な流れがある。三・一独立運動や労働運動に対する日本社会の恐怖が憎悪犯罪を生み、これがメディアによって流布され、行政によって組織され、民衆によって執行されたのだ。ならば、ここ10年余りにわたって日本で流布している嫌韓言論はどうか。人類をずたずたにするこの感情を、共感の力で癒やすべきだと著者は語っている。280ページ、1万9000ウォン(約1950円)。

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