「韓国系」と称して在外韓国系選手の資格により昨シーズン、韓国女子プロバスケットボール・リーグ(WKBL)の富川KEBハナ銀行で活躍し、特別帰化を申請していたチェルシー・リー(26)=米国=が、実は韓国系でなかったという検察の捜査結果が発表された。ソウル中央地検外事部は15日、チェルシー・リーがWKBLや法務部(省に相当)などに提出した自身と父の出生証明書が偽造されたものだと暫定的な結論を出した。

 これは韓国をないがしろにした外国人の犯罪ということになるが、問題はそれほど簡単ではない。検察の発表通りなら、昨シーズンのWKBLの各種記録が「違法選手」の詐欺行為により汚されたことになるからだ。

 チェルシー・リーは昨シーズン、所属チームのKEBハナ銀行を準優勝に導き、新人王など個人タイトル6個を獲得した。KEBハナ銀行とチェルシー・リーの記録はもちろん、チェルシー・リーにアシストをした選手、彼女のシュートをブロックした選手たちの記録についても、どのように処理すべきかをめぐってWKBLはパニック状態に陥っている。

 WKBL関係者は「初めての事態なのでどうすればいいのか分からない。近く理事会と裁定委員会を開き、チェルシー・リーの全タイトルをはく奪するのはもちろん、KEBハナ銀行の成績を無効にすることなども検討している」と語った。この関係者はまた、「チェルシー・リー問題」を機に、在外韓国系選手に関する規定を全面的に見直す方針だと明らかにした。

 チェルシー・リーは昨年、両親か祖父母のうちに韓国国籍所持者がいれば「韓国人選手と同じ資格」でプレーできる制度を利用してWKBL入りした。チェルシー・リーが提出した書類には祖母が韓国人であり、父親の名前はジェシー・リーとなっていた。このため、チェルシー・リーは各チームの外国人選手保有制限(2人)や出場時間制限などの制約を受けていない。

 しかし、検察の発表内容は全く違っていた。検察関係者は「駐韓米国大使館を通じて確認したところ、チェルシー・リーとその父と言われるジェシー・リー氏の出生証明書は米国の機関で発行されたものではなく偽造文書だった。チェルシー・リーが父親だと主張していたジェシー・リー氏は実際には存在しない人物だと見られる」と述べた。

 チェルシー・リーの「韓国人祖母」とされる女性は、実際に米国に居住し、1979年に死亡した人物だった。しかし、この女性とチェルシー・リーは何の関係もないというのが検察の説明だ。検察関係者は「韓国人祖母とされている女性の遺族から『チェルシー・リーという人のことは全く知らない』との回答を得た。インターネットでこの女性の死亡証明書を見つけてダウンロードした後、ジェシー・リーという架空の父親を作り上げたと推定される」と言った。チェルシー・リーが他人の死亡証明書を利用して韓国系だと称する書類をでっち上げたということだ。

 検察は「チェルシー・リーが文書を偽造し、その文書を使用する際に、所属チームKEBハナ銀行が加担したという証拠は見つかっていない」とも言っている。KEBハナ銀行は謝罪文で、「今後はチェルシー・リーとチェルシー・リーの代理人に対して厳しい法的措置を取る考えだ。最終捜査の結果、文書偽造が判明したら、チャン・スンチョル球団オーナーが道義的責任を取って辞任する」と明らかにした。

 一方、チェルシー・リーとその代理人は現在、米国に滞在しており、検察の出頭要求に応じていない。検察関係者は「米国の刑事司法協力を要請した」と話している。

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