韓国の「親日規定」、日本の「右傾化暴走」…国内政治利用で問題拡大

日本は極端な措置までちらつかせ…両国関係は今が底ではない

 来月大阪で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)期間中、開催国の日本は中国・ロシアとそれぞれ二カ国間首脳会談をすることが決まったという。しかし、韓日首脳会談の開催は依然として不透明だ。韓国政府は水面下で可能性の有無を打診してはいるものの、日本側が「強制徴用賠償問題で見解の進展がなければ難しい」と言い続けているとされる。日本と妥協した前政権の外交を「積弊清算の第1順位」と罵倒(ばとう)した文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本の要求に応じて動く政治的余地はない。このことは日本もよく知っている。安倍首相は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に「条件なしに会いたい」とラブコールを送る一方で、文大統領に対しては事実上、「会わないならそれまで」と考えているということだ。もし、首脳会談が不発に終われば、両国は互いに責任を押し付け合い、後ろ指を指すことになる可能性が高い。

 韓日関係は引き返せない川を渡ってしまったように見える。両国が歴史問題・領土問題で口角泡を飛ばしたのはこの1-2年の話ではないが、なんとか政治的・外交的突破口を見いだし、確執に折り合いを付けてきた。だが、今は日本の右傾化暴走と韓国国内の反日ポピュリズムが悪循環となり、ますます泥沼にはまっている。日本の自衛隊哨戒機が韓国軍の艦艇を威嚇し、これに対抗して韓国軍が攻撃用レーダーを照射したことの真偽をめぐる攻防は、友好国間ではあり得ないことだ。韓国が「海上ドローン(無人観測装置)を利用した独島海域調査」の入札公告を出すや、日本の外務省がすぐに強く抗議したこともあった。実際の調査でなく、計画段階から抗議してきたのは、意図的にもめ事を起こそうという狙いからだ。

 問題は、今が両国関係の底、つまり最悪の状態ではないかもしれないということだ。ある外交筋は「日本はメディアで報道されている『報復措置』のほかにもさまざまなカードを切ろうとしている」と言った。駐韓日本大使館・総領事館近くに設置されている慰安婦を象徴する少女像や強制徴用労働者像の問題を国際司法裁判所(ICJ)に持ち込もうという意見もあるという。ICJは普通、一方が応じなければ裁判を開かない。しかし、外交公館の保護を規定した「外交関係に関するウィーン条約」に関連した紛争は例外だ。日本がこの問題をICJに提訴すれば、韓日は法廷で争うしかないということだ。韓国が有利ならば心配することはないというが、そうでもない。韓国政府が2017年末、外国の専門家に諮問したところ「日本の公館前に少女像・労働者像を設置することは国際法違反の素地があり、ICJに持ち込まれれば敗訴する確率がかなりある」との回答を得ていたことが分かった。日本は人権侵害問題が再び国際問題化するのではないかと考え、これまでICJという切り札を切らずにきたが、今は「行くところまで行ってやろう」と打って出るかもしれないというのだ。韓日が主な確執を政治的に解決できずに事あるごとに国際法廷に持ち込めば、どちらが勝訴するにしても両国関係は満身創痍(そうい)になる。

 最近、日本に行って帰ってきたある学界関係者は、日本側から「違法滞在者の取り締まりを実施し、東京の風俗街で働く韓国人女性を追放したら、韓国はどのような反応を見せると思うか」と言われたそうだ。「韓国は慰安婦問題で日本を攻撃しているが、今の韓国人女性たちは自発的に日本に来て売春している」というメッセージになるという脅しだ。ここまで来ると本当の泥沼だ。

 これはまだ一部の人々の考えに過ぎない。だが、実行するかどうかにかかわらず、このような話が公然と出てくること自体が示唆するところは決して小さくない。問題を解決すべき両国の政界がむしろ「嫌韓ムード作り」「親日規定(親日派だというレッテルを貼ること)」の先頭に立っているのだから、関係改善はいっそう長い道のりに思える。文大統領は先日、「日本は歴史問題を頻繁に国内政治に利用し、問題を増幅させている」と批判した。確かにその通りだ。だが、ご自身にも思い当たる節がないのか、振り返ってみてほしい。

イム・ミンヒョク論説委員

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