日本による輸出規制でサムスン電子、SKハイニックスの業績が伸び悩む間、台湾積体電路製造(TSMC)、東芝、インテルなど韓国半導体メーカーのライバルが足早な動きを見せている。

 各社は韓国の半導体企業が不確実性に縛られて微動もできない間に、追撃をかわしたり、あるいは追い抜いたりすることを狙っている。半導体業界からはサムスン電子が2030年までに133兆ウォン(約12兆2000億円)を投じ、メモリー半導体、非メモリー半導体の双方で首位を目指すとする「半導体ビジョン2030」が本格始動しない段階で危機に直面したとの分析が聞かれる。

 日本の輸出規制が始まってから4週間が経過した29日時点でも日本製の高純度フッ化水素は韓国に供給されていない。半導体業界は「重要素材の在庫が底をつく10月初めには最悪の状況が訪れかねない」と懸念する。

 韓国企業が不安に包まれる間、ファウンドリー(半導体受託生産)で世界首位のTSMCは26日、半導体設備エンジニア、研究開発人材、プロセスエンジニアなど3000人以上を年内に採用する計画を明らかにした。TSMCが一度に3000人以上を採用するのは、1987年の設立以来初めてだ。ファウンドリー市場で急速な追い上げを見せる2位のサムスン電子が日本に足かせをはめられている間、引き離しにかかったものとみられる。サムスン電子はTSMCに先立ち、EUV(極端紫外線)工程を採用した7ナノメートル製造プロセスで半導体を生産したが、日本の輸出規制でEUV用のフォトレジスト(感光液)の輸入ができなくなっている。TSMCは今年、110億ドル(約1兆2000億円)を投じ、7ナノメートル、5ナノメートルなど超微細プロセスの開発に拍車をかける計画だ。今年末には台湾・新竹で大規模な研究開発センターの建設に着手する。

 2017年と昨年、サムスン電子に半導体売上高首位の座を明け渡した米インテルも攻撃的だ。インテルは今年1-3月期に首位を奪還し、再びその座を明け渡さないために動いている。4月には子会社のインテルキャピタルを通じ、人工知能(AI)、チップデザイン分野のスタートアップ14社に1億1700万ドルを投資した。

 今年6月にはノートパソコン用の10ナノメートルプロセッサーの量産を開始し、同月にデータセンター向け技術を持つ「ベアフット・ネットワーク」を買収した。それにより、インテルは4-6月期に165億ドルの売り上げを記録した。特に新規市場であるモノのインターネット(IoT)と自動運転車の分野は12-16%の増収だった。

 NAND型フラッシュメモリー分野でサムスン電子に次いで業界2位の東芝メモリは、10月に社名を「キオクシア(Kioxia)」に変更し、来年上半期に東京証券取引所への上場を目指す計画を明らかにした。東芝は上場で資金を確保し、AIなど第4次産業革命に関連する分野に集中的に投資を行う戦略だ。米国のマイクロン、ブロードコム、クアルコムなど半導体企業も先端製造プロセスの導入を急いでいる。

 一方、サムスン電子とSKハイニックスは米中貿易戦争に韓日対立まで重なり、外部の不確実性が高まったことから、中長期の経営計画の立案が難航している。SKハイニックスは最近、来年下半期に完成予定だった京畿道利川市の「M16」工場への設備搬入時期を先送りすることを決めた。サムスン電子も新メモリー工場「平沢P2ライン」への投資を来年初めまで延期した。

 半導体業界は韓日対立が長期化することを懸念している。サムスン電子、SKハイニックスが備蓄してある高純度フッ化水素の在庫量は最大で3カ月分と推定される。業界関係者は「これ以上は持ちこたえられない変曲点は日本の輸出規制実施から3カ月がたつ10月4日前後になるのではないか」と話した。両社は国産のフッ化水素もテストしているが、短期間に日本産の代替品として使用するのは難しいのが現実だ。

ホーム TOP