釜山市でコンビニエンスストアを営む40代の経営者は最近、時給7500ウォン(約690円)でアルバイト1人を雇った。今年の最低賃金8350ウォンを850ウォン下回る額だ。最低賃金法違反に当たるため、雇用契約書は作成しなかった。別に悪徳業者だからではない。釜山市・慶尚南道地域のコンビニエンスストアのアルバイトは時給が昼間で6500-7000ウォン、夜間で7500ウォン程度にしかならないという。同経営者は「他のコンビニも商売が苦しく、人件費がかさむので、大半は最低賃金を守っていない」と話した。

 あるインターネット求人サイトでコンビニのアルバイト募集広告を見ると、「最低時給は委細面談」と書かれたものが多い。コンビニ業界関係者は「堂々と最低賃金は払えないといえないからそう書いてあるが、アルバイト応募者もそれを承知で応募してくる」と話した。

 野党議員が統計庁の経済活動人口付加調査を分析した結果、今年8月現在で勤労者338万4000人が最低賃金を下回る賃金を受け取っていることが分かった。全体の16.5%に相当する。いずれも過去最高の数値だ。昨年、今年と2年連続で最低賃金が2桁台で引き上げられたことに耐えられない自営業者、零細事業者が急増しているからだ。所得主導成長を掲げる政府による過剰な最低賃金引き上げで、最低賃金を受け取れない労働者が増えた格好だ。

 西江大経済学科のチェ・イン教授は「最低賃金に達しない勤労者が増えたのは、政府の所得主導成長政策が失敗したことを示すシグナルだ。市場が持ちこたえられない政策は市場を歪曲(わいきょく)させるだけだ」と指摘した。

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