2018年11月にビーガン氏の主導で発足

北朝鮮が非難攻勢拡大するや有名無実化

 南北協力事業をめぐる韓米政府の確執の中心には、2018年11月に発足した「韓米ワーキング・グループ」があると17日、伝えられた。青瓦台や統一部などはワーキング・グループ会議を開かず、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の辞で言及した南北協力事業を推進したがっているが、米政府はワーキング・グループを通じて米国と協議しなければならないと明言しているものだ。ハリー・ハリス駐韓米国大使が前日、個別の観光推進などについて「制裁を触発する誤解を避けるため、ワーキング・グループを通した方がいい」と発言したのは、その延長線上にある。

 米国務省のスティーブン・ビーガン副長官と韓国外交部の李度勲(イ・ドフン)韓半島平和交渉本部長を代表とする韓米ワーキング・グループは2018年11月に発足した。南北鉄道・道路連結着工式のため対北朝鮮制裁を免除するかどうかが話し合われていたころのことだ。韓米関係消息筋は「当時、米国務省対北朝鮮特別代表だったビーガン副長官が『韓国外交部とだけ対話していては青瓦台・統一部・国家情報院などの意思のすべてを確認することができない」という考えから作ったのがワーキング・グループだ」と話す。米国側からは国務省と共に、国家安全保障会議(NSC)や対北朝鮮制裁担当の財務省などが出席した。

 ビーガン副長官と李度勲本部長は昨年5月までの3回にわたり、韓米の北朝鮮核問題首席代表協議をする際にワーキング・グループ会議も共に主宰し、韓国外交部もプレスリリースを通じてその事実を公表してきた。ところが、昨年2月にベトナムのハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂、北朝鮮が南北対話を一切拒否してから確執が始まった。北朝鮮宣伝メディア「我が民族同士」は昨年5月に韓米ワーキング・グループ会議が開かれると、「外部勢力に依存して北南関係問題・民族問題を解決しようという愚かな行為がなくなっていない」と非難した。それ以降、韓米首席代表間のワーキング・グループ会議は有名無実化している。だが、韓国政府関係者は「昨年12月まで韓米実務担当省庁間のワーキング・グループ会議は開かれている。外部に知らせるプレスリリースを逐一出さなかっただけだ」と話している。

 それにもかかわらず、韓米ワーキング・グループで南北協力事業の制裁違反有無を議論することについて、青瓦台などの反感はより強まっていったという。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一・外交・安保特別補佐官は昨年9月、「北が私たちを信じていなから、まったく会話にならない状況だ。昨年作った韓米ワーキング・グループは南北が推進することを米国に告げ口し、事実上米国で承認を受けることなので、北朝鮮は理解できない」と語った。韓国政府当局者も先日、私的な場で、「ワーキング・グループがあるから何もできない」と言った。「青瓦台が考える最大の敗着はワーキング・グループを作ったことだ」という声さえ上がっている。

 しかし、韓国政府が一方的に突っ走ることを懸念している米国は「スピードの出し過ぎを食い止める装置」にあたるワーキング・グループの存続を強く要求しているとのことだ。

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