最近、BTS(防弾少年団)やBLACKPINKなどのK-POPアイドルグループが米ビルボードチャートの最上位圏を占領している中、ドイツ国営放送「ドイチェ・ヴェレ(DW)」がK-POPの否定的な面を集中的に取り上げた記事を掲載して目を引いている。

 ドイチェ・ヴェレはK-POPアイドル練習生の育成システムを批判しつつ、このような方法で育成された歌手たちのことを、日常生活が規制され、さまざまな権利を制限されている被抑圧者に近い姿で描写した。

 ドイチェ・ヴェレは18日(現地時間)、4人組ガールズグループBLACKPINKに密着取材したオンライン動画配信サービス「ネットフリックス」のドキュメンタリーを紹介する記事を掲載した。記事は米国の大衆音楽界で注目されているBLACKPINKをテーマにしたドキュメンタリーがネットフリックスで製作され、配信されたと紹介するところから始まるが、記事のかなりの部分でK-POPアイドル育成システムを批判している。

 この記事は「BLACKPINKのメンバー4人は細かい振り付けや完ぺきに作られたビートを見せてくれる。これは長い目で見ると少し単調かも知れないが、このような方式は成功しており、曲は売れている」と書いた。そして、「2016年のデビューを前に、所属事務所は複数の練習生たちに一日14時間ずつ練習をさせた」「まるで五輪に出場する選手を選抜するような過酷な時間だった」と表現した。その一方で、「同時に、このような練習方式はK-POPが人気を得る一つの要因になった」ともしている。

 

 また、「ネットフリックスのドキュメンタリーは、デビューを夢見て挑戦しながらも脱落した候補者たちに視線を向けていない」と批判した。「10代の若者たちがアイドルとしての成功を夢見て、友人や家族を後にしてアカデミー(養成機関)に集まったものの、才能がないなどの理由で脱落し、失敗した人間だと汚名を着せられる」とも述べている。

 さらに、「ドキュメンタリーがBLACKPINKを表面的にのみ取り上げたのは、ネットフリックスや彼女たちの所属事務所との業務関係からだ」「成功に向かう旅路での暗い面は、どんなスキャンダルも許されないK-POPスターたちのきれいなイメージと合わない」と皮肉った。そして、「一定期間恋愛が禁止される行動規範を順守しなければならないBLACKPINKのメンバーたちにヒット曲『Lovesick Girls』は新たな意味として迫ってくるだろう」とも書いている。

 ドイチェ・ヴェレの記事では、行き過ぎだと思われるほどK-POPを否定的に見つめる視線と共に、韓国大衆文化界に対する浅く偏狭な見方も感じられる。例えば、「K-POPに暗雲が立ちこめている」という見出しの下に「2012年にリリースされたPSY(サイ)の『江南スタイル』がK-POP現象の『愉快な関門』の役割をしたとしたら、今は(『江南スタイル』のように)面白さに集中するのは、競争が激しいK-POP界の法則ではない」としている。曲が『江南スタイル』のようにコミカルでないことがまるで問題であるかのように言っているのだ。

 また、「論争となる問題が発生した時は、(自分の意見を自由に言わずに)沈黙を守ることこそ、長い間受け入れられてきた方法」「このため、BTSが米国の黒人差別反対運動『Black Lives Matter(黒人の命も大切だ、の意)』に100万ドル(約1億円)を寄付したことがどんなに難しいことだったか、韓国のメディアは当初は知る由もなかった」とも述べた。

 記事最後の方には、韓国芸能界で昨年起こったさまざまな事件・事故をまとめたフォト・ニュースを添えて、「K-POP:スキャンダルと悲劇の2019年」というタイトルをつけている。

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