文在寅(ムン・ジェイン)大統領を強く支持する過激な親文団体が先日、与党系の議員らから「検察の捜査権廃止誓約書」を受け取った。驚くべきことに韓国与党・共に民主党の黄雲夏(ファン・ウンハ)議員、金容民(キム・ヨンミン)議員、金南局(キム・ナムグク)議員、張耿態(チャン・ギョンテ)議員、李秀真(イ・スジン)議員ら10人前後が実際に誓約書を出していた。「今年上半期のうちに検察の捜査権を完全に廃止する法案を成立させる」と約束する内容だった。今も全国で2000人以上の検事が捜査業務を担当している。彼らに対して突然、捜査をやめさせるなどあり得るだろうか。その理由も「検察が政権による不法行為を捜査しているから」というものだ。検察が当然やるべきことをやっているとの理由で、検察から捜査権を取り上げるというのだ。このあり得ない要求の誓約書に署名した議員が10人前後にもなる。韓国社会において今とんでもない事態が起こっているのだ。

 親文団体は誓約書を出さなかった議員らにメールを使って激しい攻撃を行ったという。いわゆる「ムンパ」と呼ばれる文在寅ファン集団が与党議員らにこのような形で上から圧力を加え、意のままに動かそうとする事態は今回だけではない。ムンパは2017年の大統領選挙において、ライバルとなる候補者らに暴言やメール爆弾を浴びせたことで知られるようになった。破廉恥なチョ・グク元長官一家を救うとの理由で毎週のように検察庁舎前で集会を開き、さらには「ケサウム(犬のけんか)国民運動本部」と呼ばれる団体まで立ち上げた。

 彼らは「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長を弾劾せよ」と要求し「われわれが秋美愛(チュ・ミエ)」とも叫んだ。秋美愛長官を批判する与党議員らにもメール爆弾を浴びせ、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に反対する議員らには「党から出ていけ」と攻撃した。与野党の合意による採決を求める国会議長を「サクラ(御用議長)」と呼び、「後援金」として18ウォン(18は罵倒語と同じ発音)を送った。総選挙の際には与党の公選委員長に数千通のメール爆弾を送り「親文の候補者を公認せよ」と圧力を加えた。補正予算に反対した女性議員には「Xだらけ」と呼んだ。元大統領の赦免に言及した共に民主党の李洛淵(イ・ナクヨン)代表には「弾劾する」と脅迫した。

 「景気が乞食みたいだ」と述べた市場の商店主はその電話番号が流出し、魔女狩りを受けた。中国で現地取材を行った記者が中国公安(警察)から集団で暴行を受けた際には「殴られて当然」と言った。秋美愛長官の息子による休暇特恵疑惑を暴露した当直兵はムンパの攻撃を受けた影響で、「精神科の治療を受けたいほど」と述べた。今や進歩陣営の議員たちさえも「ムンパは民主主義の障害」と言いだすほどだ。誓約を行った議員らはSNS(会員制交流サイト)に公開した誓約書をこの日取り下げたが、与党内からも「非常に心配」という声が上がっている。

 文大統領はムンパを利用し、ムンパの過激な行動を「薬味」と呼んで擁護した。李洛淵代表も「党のエネルギー源」と賞賛した。それによってムンパは誰も手をつけられない権力の紅衛兵になった。文大統領と与党執行部はその後もムンパの過激な行動を制止しなかった。「ノサモ」と呼ばれた盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の支持者らは盧元大統領が掲げた方針や政策に熱狂した。これに対してムンパはある個人に対する無条件の崇拝、そして相手に対する怒りや攻撃に変質した。盲目的なファン政治の弊害は今も米国でトランプ大統領の支持者の動きに見ることができる。文大統領はこの点に留意しなければならない。

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