韓国KBSが最近、受信料引き上げを推進している中、約20億ウォン(約1億8800万円)の予算をかけて北朝鮮に平壌支局を開設する計画を盛り込んでいたことが1日、分かった。

 国会科学技術情報放送通信委員会の朴大出(パク・デチュル)議員=国民の力=が入手したKBSの「2021年1月テレビジョン放送受信料調整(案)」によると、KBSは先月末、受信料引き上げ案を理事会に上程、2021年から2025年まで「公的責務」を実行する中長期計画を出したという。この中の一つが「平壌支局開設推進」だったとのことだ。「北朝鮮関連の不正確な報道のため社会的に混乱した事例が頻繁に発生している。より正確で客観的な事実を報道するため平壌支局開設が必要だ」という理由だ。

 該当の資料には「放送局支局開設は南北関係改善と韓半島(朝鮮半島)の平和というメッセージを国際社会に知らせる劇的かつ象徴的な措置」という文言もある。KBSはこうした平壌支局開設推進と共に、放送法上、KBSが「統一放送主管放送社」であることを明記できるよう、関連研究サービスを任せ、専門家会議を開催する事業予算案に28億2000億ウォン(約2億6500万円)を別途策定した。

 さらに、2032年夏季五輪の南北共同招致のため「南北青少年スポーツ交流大会」を開催するという計画もあった。「平壌とソウルで毎年交互に大会を開催し、今後各種の大会に共同進出、南北合同チームのための基盤を整える」と説明されている。

 これに加えて、6・15南北共同宣言と8・15光復節を記念する「平壌開かれた音楽会」と「平壌のど自慢」を開催し、平壌の朝鮮中央歴史博物館が所蔵している遺物数千点を4Kや3Dで記録するドキュメンタリーを制作する事業案を含め、28億4000万ウォン(約2億6600万円)の予算案も別途策定している。「平和・統一共感帯拡散コンテンツ企画・制作」という名目だ。

 「北朝鮮関連取材報道システム強化」のためにも、26億6000万ウォン(約2億5000万円)の予算案を別途策定し、上程した。「不正確な北朝鮮関連情報がはんらんしている環境で、検証された情報に基づいて最も信頼性の高い北朝鮮関連ニュースの位相を強固化」することを目標にしているという説明だ。中朝国境地域に巡回特派員を定例派遣して脱北者出身の専門記者を採用するなどの実行案も含まれている。

 KBSはまた、該当資料を通じて、「現在の物価水準を反映したKBSの適正受信料金額は9500ウォン(約890円)だ」と主張した。ただし、41年間受信料が月2500ウォン(約235円)で凍結されている状態であることを考慮し、月3840ウォン(約360円)に引き上げる案を上程したという主張だ。

 朴大出議員は、このようなKBS受信料調整案について、「現政権と与党の親北路線に合わせてKBSが受信料調整案を出したものと見られる」「原発に公営放送まで『北朝鮮ばらまき』のパンドラの箱が開かれている。KBSが受信料を引き上げて平壌支局を作ったら、国民が容認するのは難しいだろう」と言った。

 KBS側は「平壌支局開設などのための予算が実際に組まれるかどうかは、受信料引き上げのための理事会の協議過程で最終決定される」「該当の事業計画は南北関係がどれだけ改善されるかに応じて確定するものだ。したがって、KBSが独断的に実行可能な部分ではない」と説明した。

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