「サービス料、基本配達料、最低注文金額すべて0円」

 昨年12月、日本の新たなフードデリバリー(出前)アプリ「フードネコ」は、基本料金に関して「三つのナシ」の方針を掲げて日本のフードデリバリー市場に登場し、話題を集めた。寡占状態にあるウーバーイーツと出前館が注文金額の最低10%を手数料として受け取るのに対し、フードネコは手数料を一切受け取らない。

 フードネコは、韓国1位の出前アプリ「配達の民族」を立ち上げた韓国企業「優雅な兄弟たち(Woowa Brothers)」の日本法人が運営する。そのため、フードネコのアプリは「配達の民族」を象徴するミント色をベースにし、画面構成もかなり韓国のアプリと似ている。イメージキャラクターが人ではなくネコで、日本語で表示されているという点を除けば、まるで「コピペ(コピー&ペースト)」レベルだ。

 しかし、手数料体系は全く異なる。フードネコはサービスを開始して間もないため、新規顧客を確保するために攻撃的なマーケティングを展開している。顧客が負担すべき手数料を事実上「ゼロ」にしている上、割引率が2桁(10%以上)になるクーポンを随時提供している。将来的には先行企業と同様に手数料を請求すると思われるが、シェア拡大の観点からしばらくは手数料ゼロを続ける方針だ。

 韓国ではサービス料という項目がなく、基本配達料(約5000-6000ウォン=約470-570円)をアプリの加盟店と注文者側の双方で分けて負担する。最低注文金額も加盟店側が自主的に設定することになっているが、店の多くは1万ウォン(約950円)以上としている。これには多くの消費者が不満を感じている。会社員のキム・ユンミさんは「配達料は料理代にあらかじめ含まれているのではないか」「配達料が別途かかるのなら最低注文金額を撤廃すべき」と話した。

 最近、市場調査専門会社エムブレーンが出前アプリに対する消費者の認識についてアンケート調査を行った結果、回答者の75.3%が「配達料を払うのがもったいないという思いがまず頭をよぎる」と答えた。韓国消費者連盟によると、ソウル・江南の一部の業者は、「配達の民族」アプリ上では配達料が無料または少額であるかのように表示し、アプリ内での料理の価格を実店舗より高く設定して配達料を料理価格に上乗せしているという。

 「配達の民族」が、韓国の消費者にとって不満の種である配達料と最低注文金額を店側に設定させて事実上負担を転嫁する一方で、日本の消費者からは配達料を取らない形にしているのは、後発企業として攻撃的なマーケティング戦略が必要だと判断したからだ。

 日本はフードデリバリーの規模が約4兆ウォン(約3800億円)で、韓国の20%水準にとどまる。狭い市場ではあるが、すでに飽和状態の韓国よりも成長の可能性が高い。「配達の民族」は2014年にも「LINE WOW(ラインワウ)」という名前で日本に進出したが、わずか1年で撤退した。16年に進出したウーバーイーツの加盟店数は約1万7000店から昨年には3万7000店に増えた。

 日本の場合、加盟店側に賦課される手数料率が平均30-40%で、手数料率が1桁の韓国よりも高く、消費者を相手にあえて手数料ビジネスを行う必要がないとの判断が作用した可能性もある。業界のある関係者は「日本は出前自体が多くなく、韓国に比べ、加盟店や消費者に賦課する手数料率に対してさほど敏感でない」として「ひとまずシェアを拡大すれば、収益性は韓国よりはるかに良いだろう」と話した。

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