▲写真=NEWSIS

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が2日間の日程で行われた中国訪問を終え、23日から3日間、韓国を訪れる。ラブロフ外相の韓国訪問は2009年の南北連携訪問以来、12年ぶりだ。先週の韓米外交・国防閣僚会合(2プラス2)で韓国が米国の反中連帯から一歩下がる姿を見せた直後に行われる今回の訪問に、外交関係者らは注目している。人権問題に触発された「米国対中ロ」の新冷戦の構図において、中ロが韓米間の溝を掘り下げる模様が演出されかねないからだ。中ロは米国のインド・太平洋連帯において、韓国を「弱い環」と認識している。

 ラブロフ外相は22日、中国メディアのインタビューで「米国は他国の発展を阻止するためのイデオロギーを広報している」とし「ロシアと中国は米国からの独立を強化する必要がある」と語った。その上で「中ロはドルの国際決済システムから抜け出す必要がある」と発言した。ラブロフ外相が言及した、米国の利用する「イデオロギー」とは、まさに人権のことだ。ロシアが中国と力を合わせて米国の人権攻勢から抜け出し、究極的にはドル体制も崩そうという提案をしたのだ。

 米国のジョー・バイデン政権が発足した後、米国は人権を媒介として同盟諸国を糾合し、中ロをきつく責め立てている。バイデン大統領は最近のインタビューで、ロシアのウラジミール・プーチン大統領を「殺人者」と呼ぶかという質問に「そうだ」と答えた。

 中ロは今回の会談をきっかけに、米中高官級会談の結果を共有するといわれる。今後、ラブロフ外相が韓国でどのようなメッセージを送り出すかが、「中ロの対米共同戦略」が何なのかを知り得る糸口になるものとみられる。

 ラブロフ外相の訪韓は、表面的には修好30周年記念行事のためだが、コロナ拡大の勢いが依然として収まっていない状況での3日間の訪問は、外交的・政治的なラブコールを送っているものと解釈するほかない。ラブロフ外相は、24日には「韓ロ相互交流の年」行事に出席し、25日には韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官と会談を行う。

 韓国を巡る微妙な流れは、既に米中アンカレッジ会談ではっきり現れていた。米国のトニー・ブリンケン国務長官は当時、先に行われた韓日歴訪に言及しつつ「同盟から、中国政府の措置に関する深い懸念を聞いた」と発言した。すると中国の王毅外相は「われわれは彼ら(韓日)の提起する不満を知らない。米国だけの見方ではないか」と言い返した。王毅外相がその後すぐに米日豪の関係だけに言及したのは、韓国を切り離したいという意図だと解釈されている。中国現代国際関係研究院(CICIR)のチェン・ユ研究員は「2プラス2で韓国は、米国や同盟諸国の反中発言を支持しなかった」とし「韓国は盲目的に米国に依存しないだろう」と語った。

 実際、米日2プラス2会議の共同声明は香港や新彊などにおける人権問題など「中国の急所」を直接突いたが、これに続く韓米共同声明には「中国」という単語すら含まれなかった。むしろ、鄭義溶長官は当時「米国と中国のうち一方を選ぶのはあり得ないこと」と発言した。ブリンケン長官が「米国外交の中心に人権がある」と言うと、青瓦台(韓国大統領府)は「(人権より)優先して解決すべきことは多い」とコメントした。

 北朝鮮も米国に対する交渉力強化のため、中ロとさらに密着しつつある。駐ジュネーブ北朝鮮代表部の韓大成(ハン・デソン)大使は先週、国連人権理事会における演説で、米国による中国の人権問題の指摘を「内政干渉」「虚偽・捏造(ねつぞう)」だとした。北朝鮮外務省も21日、西側諸国に向けて「人権犯罪者が人権をうんぬんしている」と非難した。

 中国中央テレビなど中国の国営メディアはこの日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が習近平国家主席に対し、朝中関係を「世界がうらやむ関係」へと強化・発展させることが北朝鮮の変わらぬ立場だと表明した-と報じた。これに対し習主席は「われわれは新たな形勢の下、北朝鮮の同志たちと手を取り合って努力したい」とする口頭親書を駐中北朝鮮大使に伝えた。

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