▲7月7日、釜山市西区の甘川港第4ふ頭で、下処理を終えたマグロを洗浄している様子。/写真=東遠グループ

 7日午前10時、釜山市西区の甘川港第4ふ頭。昨夜、100キロ沖合の海で操業を終えて戻ってきた船で、船員たちがクレーンを作動させた。氷水から引き揚げられたのは、体長2メートルを超えるマグロ(クロマグロ)だった。マグロは青いボックスに入れられて重量測定を終えた後、ふ頭に敷いたビニールの上に横たえられた。作業員が頭と尾、内臓を順に除去した。水揚げから解体までにかかった時間は1匹当たり5分。この日、この船から揚がったマグロは10匹、計1.2トンだった。40分あまりで下処理と血抜きをすべて終えたマグロたちは、30余りの氷の袋を積んだ冷蔵トラックに載せられ、東遠産業のソウル流通代理店へと出発した。一度も凍らせていない韓国産の生マグロが、誰かの食卓へと向かう瞬間だった。

【写真】体長2メートル、重さ113キロに達するマグロ1匹がクレーンに吊るされ、ふ頭に移されている様子

 「韓国産生マグロの刺し身」時代が開幕した。1990年代に東遠産業など水産企業大手がマグロ専門店を開き、マグロの刺し身が普遍化して以来、およそ30年。これまで韓国でマグロの刺し身といえば「遠洋で獲って急速冷凍したマグロ」を解凍したものだった。漁獲直後に冷凍せず冷蔵状態で流通する生マグロは、世界のマグロの10%前後にすぎない。生マグロの物量の大部分は日本に向かい、韓国国内では冷蔵マグロを航空便で運ぶごく一部の特級ホテルやハイエンドの寿司専門店でしか味わえなかった。韓国近海ではマグロがほとんど獲れず、獲れても大部分が体重30キロ未満の小型で食用価値が低かったからだ。

 その公式を破ったのは、熱くなった海だ。地球温暖化で東海の水温が上がり、太平洋など暖かい海に住んでいた大型のマグロが韓国の海にも頻繁に出没している。2021年の時点で510トンだったクロマグロの沿岸漁獲量は、昨年(11月末基準)には998トンまで増えた。

■水揚げから解体まで40分…鮮度との競争

 マグロは鮮度維持が難しい魚種だ。多血質なので網が上がる瞬間に大部分が死に、直後に血を抜く放血と内臓除去をしなければ、たちまち食べられない状態になる。釜山のある漁民は「獲ったマグロを刺し身店に売ろうとしても、半分ほどは熱のせいで身が痛んでしまい、捨てるのが日常茶飯事」と話した。ここ数年間、マグロの漁獲量は増えたものの、大手スーパーなど市中で韓国産の生マグロ刺し身に接するのが難しかった理由だ。

 この日の甘川港での40分も、「ゴールデンタイム」を逃すまいとするスピード戦だった。本来なら水揚げ、委託販売、下処理まで短くて2-3時間、長ければ丸一日近くかかっていたプロセスだ。日本の沿岸などで数十年にわたりマグロを扱ってきた専門家たちが解体を担当した。この日の水揚げは、海洋水産部(省に相当)・釜山市と水産業界が開始した「クロマグロ高所得化試験事業」における最初の物量だった。韓国国内のサバ漁獲の大部分を担当する大型まき網水産業協同組合の2つの船団が獲ったマグロを、東遠産業が競りを経ずに直取引で買い取り、流通・保管まで責任を持つ構造だ。漁民たちはマグロの販路確保や加工に苦労しており、販売まで長い時間がかかる委託販売中心の流通構造のせいでマグロの鮮度が落ちてしまうため、韓国政府と企業が対策に乗り出したのだ。状態の良いマグロは刺し身用として送り、残りは車で5分の距離にある冷蔵センターに移してマイナス60度で急冷する。

 身そのものだけを見れば、遠洋の大型マグロの方がトロが厚く、脂が乗っており、商品性が高いという評価もある。生マグロの強みは、冷凍・解凍の過程で風味と弾力が失われるということがない、もっちりとして滑らかな食感と希少性だ。日本で生マグロは、冷凍マグロとは別カテゴリーで、より高価なプレミアム商品に位置付けられている。生マグロの委託販売1位の港である和歌山・那智勝浦は、早朝の競り見学ツアーや解体ショー、街頭の生マグロ無人直売所まで備えた「生マグロ観光都市」になった。韓国の海におけるマグロの大豊作が、漁村の新たな稼ぎになり得ることを示す事例だ。

■生マグロ流通時代が到来

 東遠産業は6月から、Eマート・ロッテマート・現代百貨店・ネイバーブランドストアに韓国産マグロを刺し身として納品し始めた。今年、韓国産マグロ300トンを買い取り、相当量を流通させる計画だ。昨年の韓国国内におけるマグロ漁獲量の3分の1に達する量で、年間で換算すれば事実上、毎日1トン近い韓国産生マグロがふ頭で解体され、韓国各地の飲食店やスーパーへ向かうことになる。これにより、今年の下半期から生マグロ刺し身の流通量は大きく増える見通しだ。

 大手スーパーでは、生マグロと冷凍マグロがほぼ同じ価格で販売されている。生マグロの販売量は急増している。Eマートは今年上半期に、韓国産マグロの売上が前年同期比で228%増えた。ロッテマートもこの期間、韓国産マグロの売上が50%増加した。ある大手スーパー関係者は「生マグロはマグロ刺し身全体の物量の10%未満だが、特別な日にだけ食べられるものという認識が強く、需要が伸びている」と話した。

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