▲昨年8月に太陽光発電施設が建てられた全羅北道長水郡天川面壮板里で。山から流れ出た土砂が、近くの道路に流れ込んでいる。写真=キム・ヨングン記者

 昨年の夏、全羅北道長水郡天川面で土砂崩れの危険度1級地に設置された太陽光設備が集中豪雨により崩壊した。木を抜いて設置した太陽光パネルの間から黄色い土砂が流れて出て、5-6メートル下の水田を襲った。水田は土砂に覆われ、1000平方メートルを超える稲が被害を受けた。この太陽光設備は2017年末、環境部が実施した「小規模環境影響評価」で「集中降雨による農地毀損(きそん)を防止しなければならない」と指摘されていた場所だ。だが、その後もきちんとした対策を取らなかったため、土砂崩れが起きた。

 全国の農地や山のあちこちで、環境破壊と住民対立を引き起こしている太陽光設備について、「環境部は『環境影響評価』という制裁手段を持っていながら手をこまねいている」と指摘されている。野党・国民の力の尹永碩(ユン・ヨンソク)議員が6日、環境部から提出を受けた「2015-2020年陸上太陽光環境影響評価協議現況」によると、同期間に行われた合計7027件の太陽光事業協議のうち、条件が合わずに取り下げ・下げ戻しされた338件を除き、6689件のうち97.1%(6492件)に対して環境部が「条件付き同意」と判定していたことが分かった。事業に全面反対した「不同意」(197件)はわずか2.9%に過ぎなかった。尹永碩議員は「環境部は『恩着せがましい指摘』をするばかりで、政府の太陽光普及政策に歩調を合わせ、環境破壊や住民対立を引き起こす太陽光事業に賛成したということだ」と述べた。

■土砂崩れに無防備な太陽光設備

 事実、環境部が「条件付き同意」で処理した太陽光事業のうち、相当数が事後管理や検証がきちんと行われていなかった。慶尚北道奉化郡明湖面では昨年8月に太陽光設備設置のための土木工事中、大雨で土砂が流れ、近くの道路や高麗ニンジン畑を襲った。当時、「工事面積が広くて危険性がある」と指摘されていたが、事業者が「掘削と覆土量を半分に減らす」と言うと、環境部は「条件付き同意」を与えた。昨年、全羅北道南原市巳梅面でも「20度以上の急傾斜地は事業用地から除外する」という条件で許可された太陽光設備で豪雨被害が発生した。昨年7月20日から9月4日までの集中豪雨による流失・浸水など太陽光設備関連の被害事例は全国で52件に達した。

 太陽光発電事業の許可は、太陽光普及に積極的な産業通商資源部が出しており、各自治体としては開発行為の許可を拒否する手段があまりない。したがって、事業草案が一般に公開され、住民説明会などの意見集約手続きが義務付けられている環境影響評価がほぼ唯一の制裁手段だ。この制度を通じて、環境部長官が合法的に事業計画の補完を要求したり、「不同意」などで反対したりすることができるのにもかかわらず、通過させているというのだ。全羅南道地域の地方自治体関係者は「太陽光事業者らは『小規模環境影響評価を通過したのに、開発行為が不許可になった』として訴訟を起こすケースも多い」と語った。

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