整形情報アプリ「カンナムオンニ」は今年、日本進出から1年で登録医院数が500医院を突破し、最も多くの医院を登録したアプリになった。月間利用者数は30万人に上る。日本国内の整形外科をアプリに入れるため、現地支社の社員たちがアグレッシブに営業する一方、アプリの名前は韓国語の名前をカタカナ表記した「カンナムオンニ」(韓国語で「江南姉さん」の意)にした。「韓国=整形大国」のイメージを存分に活用したのだ。「カンナムオンニ」のホン・スンイル代表は「日本の整形情報アプリを買収し、日本の美容関連大手企業の営業チームを丸ごと迎え入れて、積極的にマーケティングを展開した」と話す。「カンナムオンニ」は整形情報アプリのほかに、独自に開発した患者予約・管理ソフトでも日本の医院を対象に事業を拡大する方針だ。

 韓国のスタートアップ(ベンチャー企業)が日本市場で頭角を表している。サムスン電子や現代自動車のような韓国の大企業でも定着できず、「韓国企業不毛の地」と呼ばれてき日本市場で、韓国の情報技術(IT)サービスの競争力を前面に押し出して根を下ろしたのだ。韓国のスタートアップ各社は整形情報・教育・ラジオ放送などの分野で日本のアプリと競い合う段階を通り越し、シェア1位になっている。ベンチャー・キャピタル業界関係者は「これらの企業は創業当初から日本進出を目指し、綿密な現地化戦略を取ってきた。それがついに実を結んだ」と語った。

■大企業も落とせなかった日本市場、スタートアップが攻略

 2018年に日本に進出した数学の問題を解くアプリ「クァンダ(QANDA)」は、顔を合わせて質問するのを嫌がる日本の生徒たちの特性に注目した。問題をスマートフォンで撮影してアップロードすれば、講師が解き方を送ってくれるという方式で、日本で発売4カ月にしてグーグルやアップルのアプリ市場で教育部門1位となり、その後も上位圏をキープしている。日本のオーディオ・アプリ部門1位で、米国の音声アプリ「クラブハウス(Clubhouse)」よりも月間利用者数が多い「スプーン(Spoon)」は、アニメ声優の人気が高い日本市場の特性を活用した。人気アニメ『鬼滅の刃(やいば)』『進撃の巨人』の有名声優が「スプーン」で放送をして人気を集めた。現在、日本の「スプーン」で毎月放送しているDJだけで平均10万人に達している。「スプーン」関係者は「今年の総売上高の半分以上が日本で発生している」と語った。

 2015年に創業し、翌年日本に進出した採用プラットフォーム「ウォンテッド(wanted)」はサービス内容を当初から韓国と違う構成にした。「ウォンテッド」のイ・ボクキ代表は「他人を推薦するのを負担に感じる日本のユーザー特性に着目し、『おすすめ』の代わりに『応援』という概念を導入した」と話す。日本では、推薦した人が面接で落ちると、自分が責任を取らなければならないと考えて負担に思うケースが多いという点に着目したものだ。

 

■「忍耐が必要だが、忠誠心が強く、規制が少ないのでやる価値はある」

 日本に進出したスタートアップ各社の代表たちが挙げる日本市場の特徴は「忍耐」と「忠誠心」だ。「4-5年は苦労する覚悟をしなければならない」という言葉があるほど、日本は新しいアプリやサービスに対する関心が低いが、いったん定着すると継続して使用する忠実なユーザーの割合が高いということだ。2015年に創業し、2017年日本に進出した宿泊管理システムのスタートアップ「H2Oホスピタリティ(H2O Hospitality)」のイ・ウンヒ代表は「日本は信頼と原則が重要な市場なので、ビジネスの定着速度は遅い。私たちも最初は客室5室で運営を始めたが、信頼ができてから20室、200室と扱えるようになった」と語った。現在、H2Oホスピタリティが管理する日本国内の民泊など宿泊施設は約7300カ所まで増えた。

 全世界で900万人がダウンロードした児童用教育アプリ「トド(Todo)英語」「トドさんすう」をサービスしている「エヌマ(Enuma)」は今月、日本で「トド英語」を発売した。エヌマは日本で国民的メッセージ・アプリと言われているネイバー「ライン(LINE)」のキャラクターを「トド英語」のアプリに使用し、親近感を強調する戦略だ。

 日本市場は自国ITサービスが少なく、プラットフォーム・金融関連規制が緩いという特徴もある。「カンナムオンニ」のホン・スンイル代表は「日本は韓国とは違い、プラットフォームの患者あっせんが違法ではないので、いくらでも現地の顧客を韓国の整形外科に連れて来ることができる」と言った。「H20ホスピタリティ」も2018年に一般住宅を民宿として運営できる法律が新設されたのを機に日本事業を急速に拡大した。

チャン・ヒョンテ記者

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