国際総合
一日6カ所で応援演説…岸田首相より安倍元首相に熱狂する日本
「自民・公明党の安定した政権を選ぶか、立憲民主党・共産党の政権を選ぶかを選択する選挙です」
24日午後7時、東京を代表するベッドタウンである中野区のJR中野駅北口広場に、安倍晋三元首相が登場した。安倍氏が来るという知らせに、広場は午後5時30分から数百人の人々でいっぱいになった。広場がいっぱいになると、向かい側の歩道や駅の入り口につながる階段にも「本物の安倍さんを見たい」と人々が集まった。安倍氏は同日、約50分遅刻したが、その場を離れる人はいなかった。この地域が含まれる東京7区の衆議院議員自民党公認候補・松本文明氏が話している時はスマートフォンばかり見ていた人々も、安倍氏が登場すると一斉にスマホで写真を撮り始めた。
安倍氏の声には力があった。今回の選挙でなぜ自民党が勝たなければならないかを熱く語った。同氏は「日米同盟廃棄や自衛隊の憲法違反を主張する共産党が立憲民主党の力を借りて政権を取れば、日米同盟は終わってしまう」「だからこそ我々自民党は野党連合に負けられない」と言った。安倍氏はこの日、東京都練馬区や中野区など自民党候補が苦戦する東京都内の選挙区6カ所を回り、「野党共闘批判」をテーマに応援演説を行った。
自民党は、首相在任中に3回の衆議院選挙を大勝に導いた安倍氏を、今月31日に行われる今回の総選挙の全国激戦地に集中的に投入している。候補の一本化に成功した野党に、予想よりも苦戦する可能性があると見ているからだ。
■国力ランキング世界1位は米国、韓国8位…日本は?
最近、第1野党である立憲民主党をはじめ、日本共産党・国民民主党・社民党・れいわ新選組という日本の5野党は、全国289選挙区のうち217選挙区で候補を一本化して公認した。これは全選挙区の75%に達する。野党の中でも趣を異にする日本共産党まで加わり、異例だと評されている。こうした効果により、自民党候補と野党一本化候補が1対1で対決をすることになった選挙区は2017年の57選挙区から今回は147選挙区へと2.5倍以上になった。
岸田文雄首相は公明党と共に全議席の過半数(233議席)を取ることを目標に掲げているが、日本の各メディアは、安定した国政運営のためには自民党単独での過半数が必要だと見ている。自民党は2012年以降、3回の衆議院選挙すべてで単独過半数を達成してきた。
しかし先日、日本経済新聞や時事通信などは、全選挙区の40-50%を「接戦地域」に分類した。フジテレビも25日、「自民党が東京・大阪といった大都市地域で苦戦している」「自民党単独過半数とは言い切れない状況だ」との分析結果を出した。自民党指導部も22日、「情勢緊迫 一票一票の獲得に全力を!!」という緊急告知を全国の候補者に通達した。
こうした中、24日に山口県と静岡県で行われた参議院議員補欠選挙では、自民党が山口県で1議席を得るにとどまった。静岡県では自民党が公認した若林洋平前御殿場市長(45.3%)が立憲民主党・国民民主党推薦の山崎真之輔前静岡県議員(46.3%)に敗れた。日本共産党の候補得票率が8.4%であることを考慮すると、自民党の候補が野党に事実上、大敗したものだ。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「静岡は本来、自民党の議席だったし、岸田首相は静岡県へ2度応援に入っており、相当な打撃を受けているはずだ」「衆院選へ大きな弾みがついた」と語った。