▲写真=UTOIMAGE

 ロシアとウクライナの戦争が長期化し、ロシアでは軍隊に動員された夫と息子を返してほしいという家族らの声が高まっている。この問題は政界にも拡大し、ロシア与党では、来年の大統領選挙を前に反戦の世論が拡大するのではないかとの懸念も出ている。

 米紙ニューヨーク・タイムズなどが27日(現地時間)に報じたところによると、召集された軍人の家族らが集まるテレグラムのチャンネル「家に帰る道」は最近、ロシア政府に対し「戦場で1年を過ごした兵士たちを家に帰してほしい」という内容の声明を発表した。今年9月に開設されたこのチャンネルには、2カ月で1万4650人以上が加入したという。チャンネル加入者らは今回の声明で「私たちの権利のために団結して戦おう」とも主張した。

 チャンネル加入者らは複数の都市に集まってデモや集会を続けた。家族らは「1年前ウクライナで戦うために動員された軍人たちには、家に帰る資格がある」「もし彼が英雄的なことをして祖国のために本気で血を流したのなら、もう家族の元へ帰るべきだ。しかし、そのようなことは起きない」などと不満を叫んだ。

 戦争が始まって以降、軍に動員された家族を除隊させてほしいという声はあったが、今回のように組織的に強硬に主張したケースはなかったという。大統領選挙まで4カ月を切った時点でこうした不満が出ていることから、ロシア政府は、軍人の家族らの声が大きくなって反戦の世論へと拡大するのではないかと懸念が膨らんでいるという。実際に1990年代、チェチェン共和国との戦争を平和条約によって終結させた際には、軍人の母親たちの反戦運動が影響を与えたとされている。ロシア野党「ヤブロコ(ロシア統一民主党)」も、動員令を終了させてほしいと加勢し、デモの余波が拡大している。

 ただし、ロシア政府は兵力の損失に備え、戦争が終わるまでは軍人の動員を続けるとの立場だ。逆に、間もなく追加の動員令を発令するとの見通しも示されている。

 ロシアは現在、デモを鎮圧するのではなく、説得と懐柔によって対応している。集会参加者を連行することはあっても拘禁はしていない。また、デモなどは街頭で行うのではなく、建物の中で実施するよう勧告している。現地の独立メディア「ジ・インサイダー」によると、ある地域の官吏は、街の中で不満が噴出するのを阻止するために「説得し、約束し、恩恵を与える」戦略を取っているという。

 家族らは、当局による説得と懐柔にも不満を表明している。モスクワでデモに参加したマリア・アンドレエワさんは「政府は軍人の家族に対し、さらに多くのお金と優遇措置を提案してきた」とした上で「私たちに必要なのはお金ではなく夫と息子」と話した。さらに「政府は今年、41万人以上の男性が軍に入隊すると騒ぎ立てており、2022年に徴兵された軍人たちを解放してほしいという家族の要求は突っぱねた。全国のデモ参加者たちは疲弊している」と話した。

パク・ソンミン記者

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