尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の義母・崔殷淳(チェ・ウンスン)受刑者が三一節(1919年3月1日の三一独立運動を記念する日)の仮釈放対象者名簿に載っている、と報道したMBCに重い懲戒処分が下された。

 第22代韓国国会議員選挙の選挙放送審議委員会は18日に第15回定期会議を開き、MBCテレビの『MBCニュースデスク』2月5日・6日・22日放送分に対して、法定制裁である「関係者懲戒処分」を議決した。

 『MBCニュースデスク』は2月5日、崔殷淳受刑者の三一節仮釈放について可否が決まっていない状況で、「高齢である上、模範囚だという理由で仮釈放対象者名簿に載っていると言われている」と報道した。このため、「事実と異なる内容を報道し、その上で『拘置所作成名簿』に崔殷淳受刑者が載っていることを政府が否定したかのように歪曲(わいきょく)して報道した」として、批判の声が上がっていた。

 また、「尹大統領が発言していない言葉をMBCがニュースで字幕にした」とされる問題で、放送通信審議委員会が審議する際、自社に有利な内容を伝えたと批判された『MBCニュースデスク』1月29日から2月1日までと2月7日・18日付放送は、法定制裁の「警告」を受けた。

 ソウル梨泰院雑踏事故特別法やYTN民営化、パク・ジョンフン元海兵隊捜査団長の抗命罪および上官名誉毀損(きそん)罪の裁判など、双方の主張が対立する事案については一方の立場だけを扱い、ソウル市中区城東区甲選挙区で与党・国民の力の尹喜淑(ユン・ヒスク)元議員が公認されたことを「私薦(私的推薦)」と表現するなど、特定政党に否定的な内容を報道したという通報も共に審議された。

 同委員会の白善ギ(ペク・ソンギ)委員長(成均館大学メディア・コミュニケーション学科名誉教授)は「MBCが考えるニュースの価値と、ジャーナリズムの原則における『メディア報道はこうあるべきだ』という当為的価値の間には差があるようだ」と語った。

 また、キム・ムンファン委員(韓国放送記者クラブ推薦)は「視聴者にとって、否定的かつ特定陣営に批判的な、根拠のない批判と映りかねない。選挙の局面において、国民の財産によりニュースを伝える放送局は誤解を払しょくするため努力しなければならないが、深刻で偏向的なメディアによるニュースの典型だ」と述べた。

 『MBCニュースルーム』のパク・ボムス取材センター長は「選挙放送審議委員会に上げられた案件は20件を超えるが、そのうち17件前後が選挙と関連があるのかは非常に疑わしい。放送通信審議委員会と選挙放送審議委員会が役割を分担し、MBCを懲戒するために重複審議・過多審議しているのではないかと疑っている」と反発した。

 「李鐘燮(イ・ジョンソプ)元国防部長官のオーストラリア大使任命および出国禁止命令問題に関して、番組構成や進行が不公正だった」と批判されたMBCラジオ『クォン・スンピョのニュース・ハイキック』の3月11-13日の放送についても、法定制裁である「警告」が下された。

 クォン・ジェホン委員(公正言論国民連帯推薦)も「3月11日を見ると、『ニュース・ハイキック』は82分間放送されたが、そのうち74分間、つまり89-90%が李鐘燮氏問題を含め、与党に不利なトピックや対談だった。深刻な問題だ」と言った。

 これに対して、MBCラジオ局のパク・ジョンウク時事コンテンツ製作パート長は「時事番組はトピックや、ある時期に話題になっていることを集中的に取り上げることになる。当時、与野党の候補たちに争点を同じように聞き、バランスを取ろうとした」と反論した。

キム・ボヨン記者

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