事件・事故
声を荒らげて追及した特検派遣警察官「大声は防音不備のせい」 楊平郡公務員男性(57)が取り調べ後に自死【独自】
閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)に出頭を求められ、取り調べを受けている途中に自ら命を絶った京畿道楊平郡庁の公務員A氏に関連し、当時取り調べを担当した特検派遣警察官らが国家人権委員会の調査に出席し、「人権委員らの質問は人権侵害だ」と反論したことが8日までに明らかになった。
【表】取り調べ受けた公務員男性が自死 特別検察官と遺族側の主張
人権委はA氏の死亡経緯などを究明するために職権調査に着手。今月1日、A氏の取り調べを担当した特検派遣警察官4人のうち1人を職権乱用疑惑で検察に告発。残る3人については、検察に捜査を委ねることに決めた。その後、人権委による調査に出席した一部特検捜査官は「こんなことではどうやって捜査を行うのか」と調査に反発したという。
人権委が1日に招集した非公開の全員委員会には、A氏の調査に関与した特検派遣警察官2人、A氏の変死事件を捜査した京畿道楊平警察署の警察官2人、変死関連業務と内部の人権問題を担当した京畿南部警察庁の警察官2人の6人が出席して意見を述べた。人権委法は調査対象者に意見陳述の機会を与えている。特検派遣警察官らは、問題の案件が人権委全員委員会に最初に上程された先月24日には出席しなかった。その後、1日の会議には4人中2人が「強圧捜査はなかった」との点を直接説明したいとして出席したという。
全員委員会で人権委員らは、特検派遣警察官2人に対して約1時間半にわたり質疑を行った。そのうち1人はある人権委員が「A氏を取り調べる際、共犯の有無を追及したか」と質問。警察官は「委員の質問自体が我々に対する人権侵害だ」と声を荒げたという。別の人権委員が「事実確認のための質疑がどうして人権侵害になるのか」と尋ねると、この警察官は「とにかく委員の方々の質問は人権侵害だ」と真っ向から反論したという。
特検派遣警察官らがA氏を取り調べる際に「声を荒らげて追及した」とされる疑惑は事実かという人権委員の質問にも警察官の1人が反発した。人権委員が「遺書の内容と特検による独自監察の結果が一致しているが、(その点について)説明してほしい」と要求したのに対し、警察官は「防音がうまくできていなかったからだと思う」と答えた上で、「この程度(の声を)大声と言うならば、どうやって捜査しろというのか」と反発したという。
楊平郡公務員労組によれば、A氏の遺族は今月1日、これまで公表しなかった21枚から成る遺書を労組に提出した。遺書には「私のようにやられている課長とその下の実務担当者が心配だ」「1カ月で3キロもやせた」などと故人の訴えが書かれていたという。労組はそれに基づき、特検による強圧的な取り調べがあったという疑惑や人権侵害の状況をさらに検討すると表明した。労組は近く、A氏を業務上の死亡として認定することを求める申請手続きを取る予定だ。
A氏の同僚の実務担当者B氏は、A氏が最初の取り調べを受ける前、4回にわたり特別検察官による調査を受けたという。B氏は人権委調査団と公務員労組に対し、「A氏が特検による取り調べを受けた際、『それは郡守(郡の首長)が指示したことじゃないか』『特検法に(刑罰の)免除・減軽規定があるので素直に認めろ』『上司の課長、局長も郡守が指示したと認めた』などと言われたと聞いた」と証言したという。
全員委員会に出席した特検派遣警察官2人は取材に対し、「事実かどうかを含め、いかなる意見も明らかにできない。公式な立場は特検の広報を通じて確認すべきだ」と答えた。別の警察官は「現在は通話できない」として電話を切った。
チョ・ミンヒ記者、ク・アモ記者