19日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱首謀者容疑事件の一審で無期懲役を言い渡した裁判長、池貴然(チ・グィヨン)部長判事は、宣告の過程でこの文章を2回、力を込めて読み上げた。12・3非常戒厳事態が「内乱」に当たる理由は結局、軍隊が国会に入り、相当期間にわたり国会の機能を止めようとする意図があったからだ―という点を強調したのだ。

【一審の判断】「国憲紊乱目的はあったか」「暴動はあったか」「大統領が直接決定、指揮したか」「検察・公捜処の内乱罪捜査は適法だったか」

 尹・前大統領はこれまで「死傷者なし、わずか6時間で解除された戒厳を暴動とみることはできない」と主張してきた。しかし裁判部は「武装した軍人が国会に出動し、ヘリなどに乗ったり塀を越えたりして国会に進入し、中にいる管理者ともみ合いをして、さらには逮捕のために装具を持ち、車両を利用して国会に出動した行為そのものが全て暴動」と判示した。

■「聖書を読むためにろうそくを盗むな」

 裁判部は英国のチャールズ1世の事例を挙げて、尹・前大統領の行為がなぜ内乱なのかを説明した。裁判部は「かつて英国王チャールズ1世が軍隊を率い、議会に乱入し、強制解散を試みたが反逆罪で死刑を言い渡された」「この事件を契機に『王といえども国民主権の委任を受けた議会を攻撃するのは反逆』という概念が確立した」と述べた。大統領がいかなる名分を掲げても、軍を国会に送って立法府の機能を妨害しようとした瞬間、「国憲紊乱(びんらん)」目的の内乱罪になるというのだ。

 尹・前大統領はずっと「戒厳は巨大野党の国会独裁による国家非常事態を国民に知らせるための訴えだった」と主張していたが、裁判部は「聖書を読むという理由でろうそくを盗むことはできない」とした。仮に尹・前大統領が主張する「国家的危機状況の克服」という動機があったとしても、違法な手段は正当化できないという趣旨だ。

■「長期政権目的」という特検の主張は棄却

 ただし裁判部は、趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)が内乱共謀の核心証拠として提出した「ノ・サンウォンの手帳」は証拠として認めなかった。特検は「尹・前大統領などがかなり前から国会を無力化して長期独裁の条件をつくり出そうとする状況が手帳に記されている」と主張した。だが裁判部は「作成時期を正確に知ることができず、一部の内容は実際に起きた事実と一致しない」「筆記が粗悪な上、保管状態などを見ると、それほど重要な内容が記された手帳だとは見ることはできない」と判示した。

 裁判部は、尹・前大統領が戒厳を決心した時期を12月1日ごろとみた。裁判部は「野党が多数を占める国会が無理な弾劾訴追と一方的な予算削減の試みで政府を無力化しているという考えに過度に執着し、12月1日、これ以上我慢できないとして武力で国会を制圧しようと決心したものとみられる」と述べた。

 「韓国憲法上の非常戒厳の要件である戦時・事変でないにもかかわらず戒厳を宣布したから内乱」という特検の主張も、裁判部は受け入れなかった。この点に関連して裁判部は「戒厳宣布の要件を具備したかどうかは大統領の判断を尊重すべきであって、これを司法府の判断対象にすることは適切ではない」とした。ただし、「戒厳宣布は大統領の非常大権であって司法審査の対象にならない」という尹・前大統領側の主張も棄却した。裁判部は「国会の権限を侵害したり行政・司法の本質的機能を侵害したりする非常戒厳は憲法上・法律上許容されない」「これを目的として戒厳を宣布したら内乱と見なし得る」と述べた。

■全斗煥・元大統領に続いて2例目の「内乱首謀者」

 韓国憲政史において内乱首謀者罪が認められたのは、30年前の全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領に続いて尹・前大統領が2例目。裁判部は、全・元大統領の事件の大法院(最高裁)判例を引用しつつ「韓国刑法上、『国憲紊乱』とは憲法機関を永久的に廃止することだけでなく、相当期間機能をきちんと果たせないようにすることも含まれる」と指摘した。国会の解散でなくとも、議員たちが集まって討議したり議決したりできなくしようとしたのであれば、国憲紊乱になり得るというわけだ。

 裁判部は、量刑理由を明かす際、「最も残念に思う点は、戒厳で軍と警察の政治的中立性が損なわれ、国際社会において大韓民国の政治的な立ち位置と対外信認度が下落したこと」だとし「結果的に、韓国社会は政治的に二分化され、極限の対立状況に直面している」と述べた。その上で「こうした社会的コストは裁判部が算定し得ないほどのすさまじい被害」と語った。

キム・ウンギョン記者、オ・ユジン記者

ホーム TOP