核問題
「FAFO」 マドゥロ大統領逮捕・ハメネイ師殺害したトランプ政権、金正恩総書記の核頼みに拍車か
米国のトランプ政権は2月28日(現地時間)「壮絶な怒り」作戦でイランに対する軍事攻撃を開始し、イランの最高指導者ハメネイ師を殺害した。その際にトランプ政権は改めて「FAFO(Fuck Around and Find Out=ふざけたまねをすると痛い目に遭う」というメッセージを世界に発信した。今年1月3日に「断固たる決意」作戦でベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を逮捕してからわずか2カ月だ。
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米軍は二つの作戦でいずれもパランティア社とアンスロピック社の人工知能を活用したという。専門家は「米国国民が不満を持つ地上軍投入はせず、圧倒的な軍事力と情報力、AI(人工知能)の技術力を駆使して作戦開始と同時に敵のトップをピンポイントで殺害し、情勢をひっくり返すのが戦争の新たな形になりつつある」と説明した。
■地上軍は投入せず敵のトップを殺害
米軍は今回の作戦開始直後にハメネイ師やイスラム革命防衛隊(IRGC)のパクプール司令官らイラン高官を一気に殺害した。ベネズエラでも攻撃開始からわずか3時間でマドゥロ大統領を逮捕した。開戦と同時にいわゆる「外科手術式」に高官らを拘束あるいは殺害しているのだ。尚志大学軍事学科の 崔基溢(チェ・ギイル)教授は「敵を大量に殺害しあるいは全面戦争を行う形ではなく、敵のトップや高官、重要施設などをピンポイントで攻撃して戦争の目的を達成する典型的な影響ベース型作戦(EBO)だ」と説明した。
ピンポイント攻撃の際に米戦争省(旧国防総省)はパランティアとアンスロピックのAI「クロード」を活用しているという。パランティアは人工衛星、レーダー、ドローンなどで収集される大量のビッグデータを分析し、米軍の作戦企画や戦術決定を支援する。アンスロピックのAIもパランティアとのパートナーシップにより米戦争省の機密分析に活用されているという。
米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は1日付で「米軍はイラン攻撃作戦でアンスロピックのAIを活用した」と報じた。AIを使って情報分析と潜在目標の確認を行い、攻撃前に戦場でのシナリオをシミュレーションしたという。マドゥロ大統領逮捕作戦にもアンスロピックのAIが使われたと報じられたが、AIの倫理的利用を訴えるアンスロピックと米戦争省はAIの軍事利用の範囲を巡り意見が食い違っていた。そのためトランプ大統領は2月27日にアンスロピックのAIを全て政府機関から排除するよう命令したが、それからわずか数時間後に米軍はこれを活用しハメネイ師を殺害した。これについてWSJは「AIシステムが米軍の作戦にいかに深く関わっているかを示している」と評した。
攻撃開始直後から「電子戦」で敵を圧倒することも重要なポイントだ。米国はマドゥロ大統領逮捕の際に電子パルス(EMP)あるいはこれに類似する機器を使って敵の兵器を無力化する「ディスコンボビュレーター」という兵器を使った。米軍はベネズエラに続きイラン攻撃でも電子戦機EA-18Gグラウラーを使ってイランの対空レーダーを無力化し、イラン軍の通信を遮断したという。情報戦でも優位を占めることでイラン高官らの位置を特定したのだ。峨山政策研究院の梁旭(ヤン・ウク)研究委員は「斬首作戦が難しい理由は攻撃手段がないからではなく、相手位置の正確な把握が難しいからだ」「ベネズエラとイランでの作戦で『米国の情報パートがしっかりと復活した』という印象を持った。それだけ情報に自信があるから動けたのだろう」とコメントした。
これに対してイランは米国の意図を分析することにも失敗した。韓国国防安保フォーラムのオム・ヒョシク代表は「トランプ大統領は事前に武力介入の可能性に言及したが、それでもイラン高官らが1カ所に集まったため攻撃を受けた。イランは昨年6月の核施設爆撃のような一部施設への攻撃だけを予想し、高官らを殺害する作戦は想像もしていなかったようだ」との見方を示した。
■北朝鮮では金正恩総書記がさらに核兵器開発に執着か
北朝鮮は同日「米国とイスラエルによる厚顔無恥かつヤクザのような行動を最も強い言葉で非難する」とする外務省報道官談話を発表した。専門家は「ハメネイ師殺害を目の当たりにした北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は『核兵器保有』にさらに執着するだろう」と予想している。中国やロシアと国境を接し、同盟国である韓国と日本を核兵器で攻撃できる北朝鮮をイランのように攻撃するのは難しいが、トランプ大統領は第1次政権でこれを検討したことがある。
マクマスター元ホワイトハウス大統領補佐官(国家安全保障担当)は2024年に発行した著書の中で「トランプ大統領は第1次政権での会議で『北朝鮮が軍事パレードを行う時にあの軍隊を全て除去するのはどうか』と発言し、スタッフらを驚かせたことがある」と明らかにした。米ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏はトランプ大統領に18回インタビューし20年に発行した著書「Rage怒り」で「第1次トランプ政権で米中央情報局(CIA)に設置された『コリア・ミッション・センター』は北朝鮮の指導者を転覆させる秘密工作を計画したことがある」と明らかにした。
ヤン・ジホ記者、パク・カンヒョン記者