▲曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長と最高裁判決で失職した共に民主党・梁文錫(ヤン・ムンソク)前議員

 「法歪曲(わいきょく)罪」と「裁判訴願制」施行初日、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(日本の最高裁判所長官に相当)が法歪曲罪で告発され、大法院長が事実上の「被告発人第1号」となった。理由は大法院が昨年5月に李在明(イ・ジェミョン)大統領の選挙法違反事件を有罪趣旨で破棄差し戻しする際、7万ページの記録を出力し事件を検討すべき法的義務を果たさなかったためだという。今回告発を行ったのはこの事件とは全く関係ない弁護士だが、警察は告発を受理し捜査を開始した。法理の歪曲を理由に裁判官や検事を処罰可能とする法歪曲罪が導入されれば、現在の共に民主党政権を支持する側がこれを利用するとの見方が現実となった。

【表】遡及法? 施行初日から問題が表面化した「法歪曲罪」「四審制」

 法歪曲罪は刑罰不遡及の原則から施行前の捜査・裁判には遡及適用されないため、昨年5月の裁判を今回施行された法歪曲罪で処罰することはできない。ところがこの弁護士は「大法院が記録を見ていない状態は今も続いている」として告発に踏み切ったという。単なる詭弁(きべん)だが、今後法歪曲罪がいかに利用されるかの予告とも考えられる。この弁護士は先日から進歩系(革新系)のユーチューブに何度も出演しているという。

 娘の名義を使って融資を受けソウル市瑞草区のマンションを購入した容疑で起訴され、12日に大法院で議員職剝奪に相当する判決を受けた共に民主党の梁文錫(ヤン・ムンソク)前議員は「大法院が基本権を看過した部分があれば、憲法裁判所の判断を仰ぎたい」と述べた。同日施行された裁判訴願法に基づき事実上の四審を利用するという意味だ。梁文錫前議員が裁判訴願を請求し、確定判決の効力停止を求める仮処分申請を憲法裁判所が 受け入れた場合、判断が出されるまで大法院判決は効力停止となる。裁判訴願が政治家の任期延長の手段として悪用される懸念は以前から指摘されてきたが、施行初日からこれが現実として議論される見通しとなった。

 法律に詳しい専門家の多くは、大法院長の告発や梁文錫前議員の裁判訴願請求はいずれも受け入れられる可能性は低いとみている。しかし大法院長まで告発される事態を目の当たりにした裁判官や検事らは萎縮するかもしれず、また事件への対応が遅れる可能性も高い。権力者が事実上の四審制とされる裁判訴願を悪用し、また一般国民も「訴訟地獄」に巻き込まれる事態は今後現実となるだろう。

 これらの問題は多くの専門家が以前から指摘してきた。また大法院はもちろん、民弁(民主社会のための弁護士会)や参与連帯でさえ制度導入前から「討論や熟議が必要」と訴えてきた。しかし共に民主党は司法に圧力を加えるため政略的次元から法案を拙速で成立させたため、施行初日から問題が表面化した。これらは今後起こる大混乱の単なる前兆に過ぎない。

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