社説
エネルギー危機に直面する韓国、状態良好の原発10基が停止中【3月25日付社説】
中東情勢に伴うエネルギー対策の一環として、韓国政府と与党・共に民主党は電力に占める割合が現在60%台の原発を今後80%台にまで引き上げることで合意した。現在韓国国内の原発26基のうち5基は点検中だが、スケジュールを前倒しして5月中旬には全て再稼働させるという。長期の備蓄が不可能なLNG(液化天然ガス)発電の割合を下げることに伴う措置だ。石炭火力発電も設備容量の80%に制限する規制を近く解除するという。
【グラフ】韓国型原子炉APR1400の優れた経済性
韓国の原発稼働率が60%台にまで低下した理由は、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の5年にわたる脱原発政策とその影響が今も残っているためだ。韓国の原発稼働率は2000年代初期には90%台、20年代も80%前後を維持していた。ところが文在寅政権は新規の原発建設を取りやめ、また原発の運転期間延長を遅らせるなど、あらゆる方法で原発が占める割合を下げる政策を強行した。
その影響で今も古里3号機と4号機、ハンビッ1号機など4基が40年の運転期間に達したとの理由で再稼働の認可が出ずストップしている。古里2号機は運転中断3年目にやっと認可が出て今月末には再稼働する予定だ。整備中の5基を含め韓国では原発26基のうち10基がストップしているのだ。その間に韓国社会が払った代償は天文学的な額に上る。古里2号機の運転がストップしている間に高価なLNG発電所などの建設に数兆ウォン(数千億円)を要したとの試算もある。
中東での戦争が直ちに休戦になったとしても、破壊された設備が完全に復旧し正常化するには数年の時間を要するとの見方もある。さらにホルムズ海峡の運航が可能になっても原油高の状態は長期間続くとも予想されている。米国は現在稼働中の90基の原発のうち80基以上に対して運転期間を60年に延長することを承認し、一部は80年まで延長の承認済み、あるいは審査中だ。フランスは60年、福島原発事故が起こった日本も原発の使用期限を60年プラスアルファとする法改正を進めている。
韓国のように原発を40年使用し早期に廃炉、あるいは安全上の問題がなくとも運転期間延長の承認に時間をかける国はない。韓国はエネルギーの94%を輸入に頼るため、エネルギー安全保障の観点からもあってはならないことだ。運転延長の許可を待つ原発は一日も早く再稼働すべきだ。韓国が大きな競争力を持つ分野の一つである原発をなぜ抑え付けるのか。
ハンビッ2号機の再稼働は今年9月に認可を受ける見通しで、さらに2029年までに6基が追加で運転延長審査を控えている。今のこのペースではこれらの原発は運転がストップした状態で審査結果を待たねばならない。新たな原発建設も急がれるが、すでに存在する原発を安全に、かつ最大限利用することも重要だ。認可に向けた審査を運転中断前に事前に終わらせるよう制度を見直し、延長期間も10年ではなく先進国と同じ20年にしなければならない。