▲写真=UTOIMAGE

 3月21日の夜、イランの弾道ミサイル2発を迎撃できなかったイスラエルの防空システムは、中距離ミサイル用の「ダビデ・スリング」だったことが把握された。この事件を巡り、高額な長距離迎撃ミサイル「アロー3」を節約するためにダビデ・スリングを運用したものの撃墜に失敗したのではないか、という分析が出ている。

【写真】高速で落下するイランの弾道ミサイル

 23日のイスラエル空軍(IAF)の調査によると、21日の夜にイランが発射した弾道ミサイル2発が、核施設のある南部の都市ディモナとアラドに着弾した。これにより両地域でおよそ200人の負傷者が発生し、数多くの建物にも被害が出た。イランが発射した弾道ミサイルは重さ数百キロの弾頭を積んだ「ガドル」系列のものと把握され、クラスター弾ではなかったことが判明した。

 この地域は、イスラエル国内でも最も強力な防空網が構築された地域の一つだ。当時、イランの弾道ミサイルの迎撃には、長距離防空網のアロー3の代わりに中距離用のダビデ・スリングが用いられた。ダビデ・スリングはミサイルを捕捉し、迎撃弾を発射したが、最終撃墜には失敗したことが調査で分かった。

 イスラエルは多層防空網を構築している。砲弾や短距離ロケット攻撃を防ぐためのアイアンドーム(射程70キロ)、中長距離ミサイル・巡航ミサイル用のダビデ・スリング(射程およそ300キロ)、長距離ミサイル用のアローなどがある。アロー3の射程は最大2400キロで、大気圏外で敵のミサイルを迎撃できるように設計された最上層防御システムだ。

 イランの弾道ミサイルに対してはアロー3が迎撃を担当するのが定石だが、イスラエルはダビデ・スリングを運用した。一部では、イスラエルが高価な長距離迎撃ミサイルの在庫を取っておくためにアロー3ではなく中距離用の防空システムを選択したものの、防空システムが突破された―という分析が出ている。アロー3の1発当たりのコストはおよそ250万ドル(現在のレートで約3億9700万円。以下同じ)で、ダビデ・スリングは100万ドル(約1億5900万円)水準だ。

 イスラエル軍は、防空システムに欠陥は無い、という立場だ。IAFは「過去に同じガドル系列のミサイルをダビデ・スリングで迎撃したことがある」と述べた。ダビデ・スリングは昨年5月の戦争でも、およそ1500キロ先から発射されたミサイルを撃墜して性能を立証し、今年2月にはイランの弾道ミサイルにまで対応できるように射程延長のアップグレードを終えた。

 ただし、低高度の迎撃は破片の落下に伴う2次被害を生みかねない、という懸念がある。ある関係者は、イスラエルのメディア「Ynet」の取材に対し「イランのミサイルを防ごうと思ったら大気圏外で迎撃しなければならない。ダビデ・スリングの機能をいくら拡張しても、正解はアロー3だけ」「現在、イスラエル全域が迎撃の破片被害でいっぱいだが、きちんと集計すらされていない」と語った。

 イラン戦争が始まった後、イランはイスラエル本土に向けて400発以上の弾道ミサイルを発射し、イスラエル軍はこのうちおよそ92%を迎撃したと発表した。

チェ・ヘスン記者

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