社会総合
韓国MZ世代が熱狂する「中国風」…中国ファッションや食品の流通も増加【寄稿】
動画配信大手ネットフリックスの韓国でのドラマランキングに、見慣れないタイトルがランクインした。『逐玉: 翡翠の君』だ。まずタイトルになじみがないし、内容も見たことがないようなものだ。謎めいた宮廷、現実離れした美しいビジュアルの主人公たち、身分を隠した皇帝の息子との運命的な出会い…。中国の動画プラットフォームで自生的に発展してきた「仙侠ウェブドラマ(中国発のファンタジー時代劇)」だ。原作はウェブ小説で、新鮮でファンタジーな世界観をベースに、いくつものロマンスが繰り広げられるというジャンルだ。
【写真】人件費・材料費高騰に加え中国発の激辛攻勢 閉店相次ぐトッポッキ店
初めて視聴した人たちの反応は、だいたい同じだ。「何だこれは?」と思って見ているうちに、3話ぐらいまで来ると気付けば夜更かししている。「作品の出来が素晴らしいというよりも、とにかくやめられない」という表現がぴったりだ。物語の完成度よりも、瞬間的な感情の爆発、吸引力がこのドラマの本質だ。当初は「戦闘よりもメーキャップに力を入れる将軍」などとからかわれ、中国国内の反応も最初は冷ややかだった。ところが、むしろ批判と流行があいまって視聴者層はどんどん広がっていった。
この現象を正確に読み解くためには「チュンティ(中国っぽいという意味)」という言葉の変化に注目しなければならない。数年前までこの言葉は、美的センスのなさや、どこかあか抜けない演出を皮肉っぽく言い表す否定的な言葉だった。ところが今、MZ世代(1980年代前半-2010年代前半生まれ)の間で「チュンティ」という言葉は、華やかで大胆、パッと目を引く視覚的刺激、現実世界とは異なるファンタジーなどを意味する。
否定的な言葉が肯定的な言葉に反転したのだ。コメディアンのパク・ミョンスが上海で中国人インフルエンサーのようなメークを施す様子がSNSで話題になり、西欧圏ではZ世代が中国風カルチャーに熱狂して取り入れる「チャイナ・マキシング(China Maxxing)」が起きているが、こうした現象も同じ流れから来ている。
コンテンツはライフスタイルを変え、ライフスタイルは財布を開かせる。文化が先に入り、消費がその後に続くという形は、すでにK-POPとKビューティーが証明した公式だ。わずか10年前、韓国のコンテンツがアジアを席巻したとき、韓国コスメや韓国食品がその後を追うように売れていったのと同じ手法を、中国が今まさに使い始めたのだ。実際に、中国コスメの韓国国内への輸入額は昨年、過去最高を記録し、中国のファッションや食品の韓国での流通も静かに増えている。コンテンツのファンダム(熱狂的なファンたち)が、その次にライフスタイル消費へと移っていく構造は、すでに作動している。その順序を先に読み取った側が、市場を掌握するだろう。
崔成鎮(チェ・ソンジン)漢陽大経営学部教授