▲ソウル警察庁広域捜査団。/写真=ニュース1

 大韓サッカー協会の洪明甫(ホン・ミョンボ)国家代表監督選任疑惑を巡る告発事件を捜査してきたソウル・鐘路警察署が、事件をソウル警察庁広域捜査団に移管したという。2024年7月に告発され、2年間にわたり捜査してきた事件を、処理もせずにそのまま移管したのだ。ソウル警察庁広域捜査団は、検察の特捜部のようなところだ。警察は「事案の重要度を考慮した」と説明した。それならば、最初から一線の警察署に任せるべきではなかった。それにもかかわらず、2年が経過して突然「事件が重要だから移管した」と言われて、誰が納得できるだろうか。

【写真】強い非難の中で帰国した洪明甫・前監督

 この事件は、洪監督の選任過程において鄭夢奎(チョン・モンギュ)大韓サッカー協会長ら協会幹部による不当な介入があったかどうかを明らかにすればいいだけの事件だ。捜査にそれほど時間がかかるわけがない。それにもかかわらず2年間も放置して、韓国代表チームがワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント進出を逃して非難の世論が沸き起こり、李在明(イ・ジェミョン)大統領まで乗り出してサッカー協会と洪監督を公然と批判するや、警察が事件を移管して本格的な捜査をすると言い出したのだ。李大統領は「W杯本戦進出の失敗は組織と人事の失敗」「無能な人物を指揮官に選抜した結果」だと述べた。大統領のこうした言及が適切であるかどうかも疑問だが、その言葉に便乗して本格捜査をすると言い出した警察も情けない限りだ。

 それでも必ず行うべき捜査であるならすべきだが、すでに鄭会長と洪監督は辞意を表明している。捜査の実効性にも疑問が提起されることは避けられない。そんな状況で広域捜査団まで動員するという。その一方で、韓国警察は本来行うべき捜査をまともに進めていない。「大庄洞控訴放棄」問題に関連し、昨年11月に市民団体が鄭成湖(チョン・ソンホ)法相らをソウル警察庁に告発した事件は、いまだに音沙汰がない。曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁長官)と韓悳洙(ハン・ドクス)前首相の秘密会談疑惑を提起し、昨年9月に名誉毀損で告発された民主党議員らに対する捜査も進展がない。不法な政治資金の授受など13件もの不正の疑いが持たれている金炳基(キム・ビョンギ)議員への捜査も9カ月以上に及んでいるが、いまだに結果を出していない。

 仮に洪明甫体制でW杯大会を成功裏に終えていたら、大統領の叱責もなく、警察の本格捜査もなかったはずだ。逆に、今回の捜査を通して洪明甫監督の選任過程に重大な不法行為があったとすれば、資格のない監督が韓国代表チームを率いていたことになる。こんな無原則な法の適用がどこにあるというのか。

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