昨年9月に西海で韓国海洋水産部(省に相当)職員の男性が漁業指導活動中に北朝鮮軍によって殺害される事件が起こったが、その遺族が今回、海洋警察庁のキム・ホンヒ庁長など海洋警察の関係者を相手取り民事訴訟を起こした。海洋警察は昨年公表したこの事件についての中間報告で「男性は越北しようとしたようだ」と主張したが、これについて国家人権委員会が「殺害された男性と遺族の人格権を侵害した」との判断を下したため、遺..
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昨年9月に西海で韓国海洋水産部(省に相当)職員の男性が漁業指導活動中に北朝鮮軍によって殺害される事件が起こったが、その遺族が今回、海洋警察庁のキム・ホンヒ庁長など海洋警察の関係者を相手取り民事訴訟を起こした。海洋警察は昨年公表したこの事件についての中間報告で「男性は越北しようとしたようだ」と主張したが、これについて国家人権委員会が「殺害された男性と遺族の人格権を侵害した」との判断を下したため、遺族らは人権委の判断を根拠に今回の訴えを起こしたという。原告は殺害された男性の息子(18)で、「父が死んだ日(2020年9月22日)を忘れない」という趣旨から2020万922ウォン(約194万円)の賠償を求めた。
遺族の代理人を務める弁護士のキム・ギユン氏は14日「海洋警察庁のキム・ホンヒ庁長とユン・ソンヒョン捜査情報局長、キム・テギュン刑事課長を相手取り、15日付で『人権侵害に対する損害賠償請求訴訟』を起こす」と明らかにした。殺害された男性の息子はこの日自らの考えを公表し、その中で「(人権委員会の発表後)1週間の時間の猶予を与えたが、海洋警察は誰も謝罪しなかった」「海洋警察は確かな証拠もないのに父を罪人とし、捜査上やむを得ないという理由ですでに故人となっていた父と家族の名誉を傷つけ、人権を侵害した」と主張した。
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息子はさらに「私が望むことは、苦痛を味わった母、私、弟に対する海洋警察庁からの心からの謝罪の一言だった」「(国が)力のない国民に対して行った蛮行のせいで、一家族の生活がどれほど悲惨に踏みにじられたか驚愕(きょうがく)心を持ってもらい、二度とこのようなことが繰り返されないために、また被害を受ける国民を出さないためにも訴えを起こしたい」との考えも示した。遺族らは海洋警察が心から謝罪した場合には訴えを取り下げる考えだ。息子は「訴訟を通じて補償が得られた場合、今も苦しんでいる哨戒艦『天安』事件の遺族に寄付したい」との意向も明らかにした。
海洋警察は昨年9月と10月に捜査の中間報告を発表したが、その中で死亡した男性の借金総額や賭博の回数、さらにその時期などについても公表した。またその際には失踪の原因が正確に分からない状態だったにもかかわらず、メディアに対し「精神的なパニック状態で越北したと判断している」とする一方的な見方を伝えた。これについて国家人権委員会は今月7日、海洋警察によるこれら一連の発表内容について「憲法で保障されている被害者と遺族の人格権を侵害した」とした上で、キム庁長に対し、ユン・ソンヒョン捜査情報局長とキム・テギュン課長に警告の処分を下すよう勧告した。しかし人権委によるこの勧告にもかかわらず、海洋警察は現時点でまだ遺族に謝罪していない。
イ・ジョング記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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