▲大統領室
12年ぶりの韓日首脳会談が開かれた3月16日朝、東京のお台場は国際展示場に向かう人々でごった返した。3月15-17日の3日間にわたって開催された新再生エネルギー技術展示会を訪れた人々だった。ここで韓国企業の関係者に出会った。参加動機について尋ねたところ、日本企業が素材、部品、装置の分野で強いため、一緒に仕事をせざるを得ないという答えが返ってきた。
【写真】親睦を深める韓国の金建希大統領夫人と日本の..
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▲大統領室
12年ぶりの韓日首脳会談が開かれた3月16日朝、東京のお台場は国際展示場に向かう人々でごった返した。3月15-17日の3日間にわたって開催された新再生エネルギー技術展示会を訪れた人々だった。ここで韓国企業の関係者に出会った。参加動機について尋ねたところ、日本企業が素材、部品、装置の分野で強いため、一緒に仕事をせざるを得ないという答えが返ってきた。
【写真】親睦を深める韓国の金建希大統領夫人と日本の岸田裕子夫人
日本の素材、部品、装置分野の競争力は一夜にして積み上げられたものではない。冷戦終結後に展開されたグローバル化と自由貿易体制を経て、約30年間蓄積された産物と言える。資源や人材調達など最適な選択肢によってグローバル・サプライチェーンが構築され、日本の素材、部品、装置産業もその結果の一部となったのだ。半導体は徹底的に国際分業化された産業だ。600個以上の工程を経なければならず、各工程には数多くの装置や化学物質、材料が投入される。全てのものが細かく誤差なく組み合わせられてこそ、高品質の半導体が完成する。米国とオランダ、日本などの装備と部品、素材、そして韓国の工程および製造技術間の完璧な結合の結果である。これは単に技術という一くくりの単語で説明したり獲得したりすることは難しい。経験を通じて学んだノウハウの世界でもあるからだ。従ってコストなどの理由で装置や材料をたやすく変更することはできない。
グローバル・サプライチェーンは高度に構造化されるとともに非常に複雑なクモの巣のようであり、単一国家内で完結したサプライチェーンを形成することはほとんど不可能に近い。今、韓国は米中の覇権競争の間で新しい陣営論理と自国優先主義に基づいた世界経済秩序の再編期の真っただ中に立っている。米中競争は単純な軍事的対立や政治的分裂にとどまらず、未来を左右する成長産業と関連したサプライチェーンから相手を排除するという意図を巡り展開されているが、その中心には半導体がある。米国が韓国と台湾、日本と共に結成した「チップ4同盟」から、その具体的、かつ露骨な目標を読み取ることができる。これはすなわち、国際分業構造体制下で半導体をはじめとするICT(情報通信技術)産業に力づけられ現在の地位を築くに至った受益国の一つである韓国に、新しい挑戦の時が到来していることを物語っている。これまで経験したことのない不慣れな圧力に対抗して、これまでの国家関係を新たに見直し、関係を設定する必要があることを認識しなければならない。韓国の産業構造は、われわれが望もうが望むまいが、企業活動が、単なる経済的論理を超えて、政治、外交、軍事などの論理によって強く影響を受けるほかない運命なのだ。
特に、韓国と日本は、グローバル・サプライチェーンが再編される中、さらに敏感に米国と中国を意識せざるを得ない。サプライチェーンのグローバル化とブロック化という二つの矛盾する現象が同時に起きているこの時期に、韓国は今後どこに中心を置いて戦略を練るべきなのか。もちろん長期的には韓国国内に完結した構造を構築し、サプライチェーンの再編に対応する必要性がある。しかし、日本が数十年間競争優位を蓄積してきた素材、部品、装置分野の技術力とノウハウを短期間で追撃することは現実的に不可能だ。「素材、部品、装置の国産化」は非常に聞こえのいいスローガンだが、生半可に推し進めてはむしろ韓国産業に対する自害行為となりかねない。徐々に持続的に進められなければならない。素材、部品、装置のサプライチェーンが量と質の面で日本を追い越すまでは韓日間の相互依存性を認め、受け入れなければならない。そうしてこそ韓国に未来がある。
非メモリー半導体分野や自動運転、バッテリー、水素エネルギー、ロボット、人工知能、航空宇宙産業、量子コンピューティングなどで無尽蔵な革新が生じており、これらの分野をリードする国家が未来産業の覇権を握ることになるだろう。認めたくはないが、日本はこの産業分野でまだ韓国よりも進んでいる領域が多い。新しい技術や産業が開拓される昨今、未来のために日本との協力は避けられない。競合する領域では激しく競合して必ず勝ち抜き、共にしなければならない領域では多くのことを学ばなければならない。これが、韓日間の依存性を否定できない今、持続的成長と未来産業における覇権のために韓国が選択できる最も賢明な解決策だ。こうした脈略から、今回の韓日首脳会談は企業がこれ以上政界の目を気にせず、自由に日本と協力できるよう道を開いたという意味合いを持つ。
韓国と日本は最も多くの観光客が行き来する国だ。両国の20-30代が最も訪れてみたい国も、それぞれ韓国と日本だという。スラムダンクに韓国の観客が熱狂し、韓国のアイドルは日本でも韓国と同じくらい愛されている。依然として日本は韓国の敵なのか、それとも憎いところはあるが親しくならなければならない友人なのか。韓国歴史の「英雄」である安重根(アン・ジュングン)義士も、単に日本の帝国主義勢力を嫌っていただけで、日本と日本人は憎んでいないと言っていた。今や、観念的な自主性に陥り日本を排斥することと、両国間の相互依存性の現実を直視して未来をつくっていくために日本を活用できるアイデアを持つことと、果たしてどちらが韓国にとってより有益なのかを冷静に考えなければならない時を迎えている。
具承桓(ク・スンファン)京都産業大学教授
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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