▲イラスト=UTOIMAGE
超高速インターネットが普及した2000年代以降、匿名ネットユーザーによる誹謗(ひぼう)中傷コメントに耐え切れなくなった芸能人・有名人の悲しい死が30年近く相次いでいる。 そのたびに「匿名性の弊害をなくそう」「インターネット実名制が必要だ」「誹謗中傷コメントに対する処罰を強化すべきだ」といった掛け声が一時的に社会を騒がすだけで、同様の犠牲者が出るのを防げないと指摘されている。
2008年10月、韓..
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超高速インターネットが普及した2000年代以降、匿名ネットユーザーによる誹謗(ひぼう)中傷コメントに耐え切れなくなった芸能人・有名人の悲しい死が30年近く相次いでいる。 そのたびに「匿名性の弊害をなくそう」「インターネット実名制が必要だ」「誹謗中傷コメントに対する処罰を強化すべきだ」といった掛け声が一時的に社会を騒がすだけで、同様の犠牲者が出るのを防げないと指摘されている。
2008年10月、韓国の「国民的女優」と言われたチェ・ジンシルさんが誹謗中傷コメントに苦しめられて命を断った。「世間の人々が恨めしい。どうして(私のことを)苦しめるのか分からない」という遺書を残した。2013年にはチェ・ジンシルさんの夫だった元プロ野球選手の趙成珉(チョ・ソンミン)さんも誹謗中傷コメントやデマなどに悩まされ、この世を去った。
芸能関連のネットメディアと大手ポータルサイトのコメント投稿が本格化した2010年代の芸能人・有名人たちは、誹謗中傷コメントによるうつなどに苦しめられ続けた。2017年に亡くなった男性アイドルグループSHINee(シャイニー)のメンバー、ジョンヒョンさんは「憂うつはとうとう僕をのみ込んだ」と書いていた。2019年10月にガールズグループf(x)の元メンバーで歌手ソルリさん、11月は元KARA(カラ)の歌手ク・ハラさんが相次いでこの世を去ると、韓国政界は「ソルリ法」「ク・ハラ法」を打ち出し、対策整備に腐心しているような姿勢を見せた。
ソルリ法と呼ばれる誹謗中傷コメント防止法は、「インターネット準実名制」「ヘイト(嫌悪)表現の削除」などを骨子としていたが、第20代国会の任期が満了して廃棄された。第21代国会でも悪意のある虚偽事実を含む投稿・コメントに対する規制・処罰を強化する情報通信法改正案が発議されたが、任期満了で自動廃棄された。
韓国政界での議論が遅々として進まない中で、プロバレーボール選手のキム・インヒョクさん(2022年)や『パラサイト 半地下の家族』に出演した俳優イ・ソンギュンさん(2023年)が相次いで亡くなった。専門家らは「『サイバーレッカー』(有名人の不祥事などに便乗して再生回数・閲覧数を稼ぐユーチューバー)が横行する動画共有サイト『ユーチューブ』が2020年代半ばにメディア権力を掌握したため、今後もこのような被害がさらに広がるだろう」と指摘する。オールド・メディアのように現行法で厳しく規制されていない点を悪用し、収益を最大限得ようとしているユーチューバーたちが芸能人・有名人に対するフェイクニュースを拡散するからだ。
一部には、ユーチューブを放送法で規制したり、新たなメディア法を制定したりする必要性を提起する人もいる。また、現在「3年以下の懲役、3000万ウォン(約310万円)以下の罰金」と規定されている誹謗中傷コメント処罰の上限を、ドイツ並みの「5年、650億ウォン」まで引き上げるべきだとの指摘もある。
安重顕(アン・ジュンヒョン)記者、アン・テミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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