▲イラスト=UTOIMAGE
80年にわたる韓国の司法制度を揺るがす、いわゆる「司法3法」が施行されたが、裁判所は静かだ。内部掲示板に掲載された文もほとんどない。ある判事はその理由を「接触事故なら車を降りてでも争うが、今はひき逃げされて意識不明の状態だ」という例えで答えた。
最も大きな打撃を受けているのは「法歪曲(わいきょく)罪」だ。「利益を与える、あるいは権益を害する目的」で法律を適用したり、証拠がないことを知りながらも有..
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▲イラスト=UTOIMAGE
80年にわたる韓国の司法制度を揺るがす、いわゆる「司法3法」が施行されたが、裁判所は静かだ。内部掲示板に掲載された文もほとんどない。ある判事はその理由を「接触事故なら車を降りてでも争うが、今はひき逃げされて意識不明の状態だ」という例えで答えた。
最も大きな打撃を受けているのは「法歪曲(わいきょく)罪」だ。「利益を与える、あるいは権益を害する目的」で法律を適用したり、証拠がないことを知りながらも有罪を認めたりすると、法定刑は最大で懲役10年となる。捜査権を持つ警察が裁判官の判決を解剖し、裁判官の頭の中をのぞき見る「観心法」捜査が始まるのだ。
まず、法廷の風景が変わりつつある。このほど行われた裁判所長会議では、被告人が裁判長に向かって「法歪曲罪で告訴する。ちゃんと裁判しろ!」と公然と脅迫した事例が紹介された。
裁判所行政処(省庁の一つ)は16日、裁判機能が縮小しないようタスクフォース(TF、作業部会)を設置し、制度整備や予算確保をすると明らかにした。しかし、裁判官たちの心理的な萎縮を食い止めるのには不十分だ。
これまでは意味のない告訴・告発は調査をせずに却下されることがほとんどだった。そのため、裁判官が起訴された4812件(2022年現在)の中で正式に裁判にかけられた事例は1件もなかった。だが、「法歪曲罪」新設後は捜査機関も政治的な負担を感じる可能性がある。「少なくとも一度は出頭して事情聴取を受けろ」と言われれば、裁判官にとっては致命的な圧力となる。
結局、裁判官が選ぶ生き残り戦略は「捕まらない裁判」となる。ある裁判所長は「事件を把握しようと積極的に尋ねたり、資料を要求したりするのではなく、当事者たちがやる通りに放置することになるだろう」と言った。判決文ももめ事を避けるために簡略に書かれる可能性が高い。論争になるような事件は「たらい回し」のように次の裁判所に回されることになるだろう。
こうなると、過去の「蔚山選挙介入事件」のように、準備期日が1年以上も先送りとなるような裁判遅延が日常化する可能性がある。ある部長判事は「判決を下せば法歪曲罪で処罰される可能性があるが、判決を下さないでいることは処罰の対象ではないではないか」と言った。
法歪曲罪は少数の政治的事件のみで問題になるわけではない。特殊詐欺犯、不動産保証金詐欺犯、不同意性交犯も武器として使える。いや、昨年の刑事事件181万件のうち、相当数はこのような事件だ。これらの犯罪者たちが裁判官を法歪曲罪で告訴し、有罪判決を阻止するなら、その被害を受けるのは誰だろうか。裁判官たちが「本当の被害者は裁判官ではなく、国民たちだ」と言うのはこのためだ。
韓国では裁判官は憲法上、身分が厚く保障されている。外圧に揺れることなく、憲法と法律と良心に従って判決せよという意味だ。だが、法歪曲罪により、裁判官たちが実存的な脅威を感じ、「卑劣な」生き残り戦略を選ぶ可能性が高まった。裁判は先送りされ、被害の救済も難しくなる。これこそ与党・共に民主党が「不正・無道な公権力の法治主義を厳しく取り締まる」と主張、導入した法歪曲罪の不安な未来だ。
梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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