▲北朝鮮の朝鮮中央テレビは、ウクライナ戦争に参戦した北朝鮮軍の戦闘映像記録物を公開した。/写真=朝鮮中央テレビの映像キャプチャー
3年目の「希望拷問」だ。米国の軍事力評価メディア「グローバル・ファイア・パワー(GFP)」が公開した「2026軍事力ランキング(2026 Military Strength Ranking)」によると、韓国はGFPの軍事力評価指数(PwrIndx)で世界の5大軍事強国だという。通常戦力の評価対象145カ国中、3年連続の5位だ。
韓国は米ロ中印に次ぐ順位だった。GFPのランキングは、米国から戦時作..
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▲北朝鮮の朝鮮中央テレビは、ウクライナ戦争に参戦した北朝鮮軍の戦闘映像記録物を公開した。/写真=朝鮮中央テレビの映像キャプチャー
3年目の「希望拷問」だ。米国の軍事力評価メディア「グローバル・ファイア・パワー(GFP)」が公開した「2026軍事力ランキング(2026 Military Strength Ranking)」によると、韓国はGFPの軍事力評価指数(PwrIndx)で世界の5大軍事強国だという。通常戦力の評価対象145カ国中、3年連続の5位だ。
韓国は米ロ中印に次ぐ順位だった。GFPのランキングは、米国から戦時作戦統制権(統制権)の移管を受けるための名分、かつ自主国防政策の土台として引用される。李在明(イ・ジェミョン)大統領は「世界5位の軍事力を持つ韓国が自ら防御できないのはあり得ない」と言った。
韓国は本当に5大軍事強国なのか? 5位の軍事力の「実」と「虚」を細かく取り上げてみよう。安全保障と自首国防の論拠だからだ。GFPは2005年から兵力規模、国防予算、武器の保有量などおよそ60の指標で順位を付けている。核兵器のような非対称戦力は算定基準から除外している。戦闘機、戦車など伝統的な通常戦力の数量と質が基準だ。韓国は、けん引砲4400門(世界2位)、自走砲3270台(3位)、フリゲート艦17隻(3位)、予備役310万人(2位)など、火力と動員能力において高い点数を得た。
「世界の軍事力5位」という統計の盲点は、現代戦の戦力を正確に反映できていないところにある。軍事力評価の限界は、次の通りだ。
第一に、軍事力統計の発表を基に広告と後援を受けているGFPは、20世紀の基準で21世紀の軍事力を評価している。第1次・第2次大戦や韓国戦争、ベトナム戦争当時の戦力の評価基準は、軍人の数、大砲や戦闘機といった通常兵器だった。だが、今の戦争は次元が違う。ドローンやミサイルが空の国境を無力化した。軍事力5位の韓国海軍には、空母や原子力潜水艦が無い。弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス艦は1隻だけだ。
GFPの基準に基づくと、2位のロシアが20位のウクライナを4年にわたり降伏させられずにいる理由を説明するのが困難だ。強い抵抗の意志で団結しているウクライナ軍と、経済的報償で入隊させて「雇い兵」気質がかなりあるロシア軍の戦争は、現代戦の複雑さを反映している。
第二に、核兵器のような非対称戦力を除外した通常戦力ランキングは、中途半端な軍事力統計だ。21世紀の戦場において核兵器を除外した戦力推計が有効なのは、仮想現実のゲームだけだ。上位5カ国のうち、ゲームチェンジャーである核兵器を保有していない国は韓国のみ。飛車角抜きで将棋をするようなものであって、「5位の軍事力」は意味がない。
逆に、北朝鮮の戦力の核心である核兵器は急増傾向にある。スウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」は昨年6月、北朝鮮の核弾頭数を50基と推定した。韓国国防研究院(KIDA)は2025年現在で、北朝鮮の核兵器の総数を150基と推定した。2030年になるとインドを追い抜いて世界5位に浮上するという。
北朝鮮の軍事力は、昨年よりもランクを三つ上げた31位だ。GFPは、北朝鮮の公式な軍事力はほとんど分かっておらず、装備および兵力の規模は入手可能な情報を基に推定した、とコメントしている。兵役の期間が18カ月の韓国軍と120カ月の北朝鮮軍を単純比較するのは困難だ。南北の順位比較に意味はない。世界の防衛産業輸出において韓国は4位だが、通常戦力も比例して5位、というのは論理の飛躍だ。
ドイツの戦略家クラウゼビッツは、名著『戦争論』で「戦闘力は精神的要素と物理的要素で構成されるが、戦闘を決定づける要素は精神的戦闘力」と述べた。無形の士気などが有形の物理的要素よりも重要だったケースは、世界の戦争史にあまたある。現在の韓国軍は人口減少による兵力の質的・量的低下、幹部の使命感や力量の下落、長期的な平和の基調で柔弱な文民主義が拡散したことなどで、精神的戦闘力は高くない。逆に「党性」でがっちり武装した北朝鮮軍は、ウクライナの戦場で得た実戦経験と核兵器を除いても、軽視できない戦力だ。
第三に、軍事力は相対的なものという属性をGFPは無視している。韓国が世界的な軍事強国と評価されても、北東アジア地域に局限すると話は違ってくる。北東アジアにおける4大軍事超大国の軍事力密集度は「過密」以上だ。4大強国の北東アジアにおける戦力配置図は、5位という順位を霞んだものにしてしまう。北朝鮮と中国、ロシアのほか、「7位」と発表された日本の軍事力も侮れない。今年の国防予算が65兆ウォン(現在のレートで約7兆1000億円。以下同じ)の韓国の通常戦力が、防衛予算9兆353億円(2026年度当初予算案、韓国ウォンでおよそ83兆ウォン)の日本より優位にあるというのは理屈に合わない。「戦争ができる国」への改憲が行われたら、日本の軍事力増強は想像以上だ。
最近、トランプ大統領の信任を受けている米国のエルブリッジ・コルビー国防次官が韓国を訪れ、韓国の「責任分担(burden sharing)」を強調した。「北朝鮮抑止の1次責任を負う能力」が韓国にあるとして、米国は一歩引いた。根拠は、韓国が「通常戦力世界5位」だということだった。統制権移管を自主国防だと理解している自主派は、コルビー次官の認識をもろ手を挙げて歓迎するが、米国の後退が韓国の安全保障にどのような影響を及ぼすかは、小さな子どもでも理解できる。
最後に、営利目的のGFPの統計に対する無条件の信頼は禁物だ。米中央情報局(CIA)は軍事力ランキングを公開したことがあるが、核兵器の増加などで軍事力評価に限界があり、2007年以降は取りやめた。他の国や機関もまた、軍事力推計の複雑さから軍事力の順位発表を取りやめた。
機械的な指標を基にした通常戦力の順位は、参考資料に過ぎない。過度の引用や政策根拠としての活用は禁物だ。特に、政治的活用は慎重でなければならない。韓国の軍事力5位は意味ある成果だが、戦争の勝敗を決するのは順位表ではない。核戦力・通常戦力を統合した軍事力比較モデルの開発が必要だ。核兵器を含む戦力の総体と確固たる精神的戦力に基盤を置いた、総合軍事力評価が行われなければならない。第9回党大会で金正恩(キム・ジョンウン)が自ら運転した、核弾頭の搭載も可能な600ミリ超大型放射砲(多連装ロケット砲、KN25)は、韓国全域を射程に収めている―という平壌発のニュースが、今の韓半島の現実だからだ。こんな事態にもかかわらず、米国の装備と兵力が既に到着している状況で韓米合同演習すら国防相が抗議するなど不協和音を生んでいるのは、一体誰を意識したものなのか、全く嘆かわしい。
南成旭(ナム・ソンウク)淑明女子大碩座(せきざ)教授・元国家安保戦略研究院長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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