▲写真=UTOIMAGE
第2次世界大戦が終わった1945年から80年間、米国の大統領は「自由世界の指導者」と呼ばれてきた。米国もこの呼称を誇りに考えてきた。しかし今この「自由世界の指導者」に会うことはホルムズ海峡を無事に通過するのと同じくらい危険になった。
そのためトランプ大統領と日本の高市早苗首相の首脳会談は一層世界の注目を集めた。トランプ大統領から軽視され侮辱を受けているNATO(北大西洋条約機構)加盟国は、トラン..
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▲写真=UTOIMAGE
第2次世界大戦が終わった1945年から80年間、米国の大統領は「自由世界の指導者」と呼ばれてきた。米国もこの呼称を誇りに考えてきた。しかし今この「自由世界の指導者」に会うことはホルムズ海峡を無事に通過するのと同じくらい危険になった。
そのためトランプ大統領と日本の高市早苗首相の首脳会談は一層世界の注目を集めた。トランプ大統領から軽視され侮辱を受けているNATO(北大西洋条約機構)加盟国は、トランプ大統領と対面する際のヒントを得たいと考えたはずだ。結論から言えば、高市首相は大きなミスなく非常に友好的な歓迎を受け無事東京に戻った。
日本の首相にとって就任後最初の海外訪問先はワシントンが多い。これは日本で米国の占領が終わった1950年以来の定石だ。日本のある元首相は就任後最初にワシントンを訪問する前に感じる緊張感について「恐怖に近い」と語ったことがある。また日本では「今回の首脳会談の時期は最悪」と誰もが考え心配していた。
日本はまずワシントンに持っていくプレゼントを準備した。日本はトランプ大統領と5500億ドル(約88兆円)の投資を約束しているが、その第1弾となる360億ドル(約5兆8000億円)はすでに投資先が決まっており、今回の訪問で第2弾となる730億ドル(約12兆円)の投資先も決まった。ちなみに韓国と欧州は投資先についてまだ何も決まっていない。
日本にとって最大の懸念はホルムズ海峡への自衛隊派遣問題だった。高市首相はそれだけは回避したいと考え、一方のトランプ大統領はそれに応じさせNATOに一層の圧力を加えたかった。だが高市首相には憲法第9条という大きな盾があった。憲法第9条には「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めている。米国が日本を占領した当時、日本の首にかけた鈴のようなものだ。
ホルムズ海峡への軍艦派遣はこの憲法第9条に完全に反するが、高市首相にとってのジレンマは自 らがこの第9条廃止を公約として掲げて首相になったことだ。高市首相は自分が廃棄を約束したこの条項を派兵ができない理由とした。トランプ大統領は高市首相のこの矛盾した態度に目をつむった。
NATO加盟国は「NATOは防衛のための同盟であり攻撃のための同盟ではない」との論理でトランプ大統領からの支援要請に応じようとしない。これに対してトランプ大統領は「NATOが米国を必要とするときは守ってやったのに、米国が必要とするときに彼らは米国と共にいない」と述べ不満を隠そうとしない。そのためNATOは、米国がNATOから離脱しないか、あるいはウクライナ戦争への対応に消極的にならないか不安に思っている。
日本とこのNATOの立場を変えたのは高市首相の「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思う」「そのために諸外国に働きかけてしっかり応援したい」という発言だ。今の世界の雰囲気ではちょっとした度胸や心臓の強さだけでは到底言えない言葉だ。
米国は同盟国や友好国の支援も応援もない状態で「孤独に」戦争を続けている。米国国内の世論も決して良くはない。トランプ大統領にとって、軍事面での支援に劣らず、考えようによってはそれ以上に欲しいのは、戦争の正当性を擁護する政治面での支援だ。高市首相はその点にしっかりと目を付けた。欧州各国のメディアは高市首相の外交を「おべっか外交」と皮肉ったが、日本の世論調査では今回の米日首脳会談について「成功」との見方は69%、「失敗」は19%だった。高市政権の支持率は71%と高い水準を維持し、不支持は20%にとどまっている。
日本はなぜこれほどまで米国の前で低姿勢でいられるのか。170年続く米日関係の歴史で両国が「敵」あるいは「支配-被支配」の関係だったのはわずか15年だ。それでも日本政府と国民の意識の根底には「敵」あるいはライバルとして対峙(たいじ)した米国の印象が強く残っている。
高市首相が訪米の準備に没頭していた3月10日は東京大空襲から80年となる日だ。このわずか1日の爆撃で10万人以上の日本人が家で座って、横になって、あるいは立った状態で犠牲になった。広島への原爆投下以上に犠牲者は多かった。
日本の30年にわたる不況も、振り返ればその原因の一つは米国が半強制的に日本の通貨価値を2倍に引き上げた1985年のプラザ合意にさかのぼる。日本の半導体産業没落の直接の原因は86年と91年の米日半導体協定だ。米国が友人から「敵」あるいはライバルとなったときの顔を日本は忘れられないのだ。
韓国は「何があっても米国との同盟関係は維持される」という「検証されない仮説」を当然と考えている。これに対して北朝鮮は6・25で敵となった米国の姿を記憶から消せないため、米国を非難しながらもその裏では米国との話し合いにこだわっている。米国はどこから見ても丸いお月さまではない。米国がいつどのような形で韓国を試すか分からないことを決して忘れてはならない。
姜天錫(カン・チョンソク)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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