アルツハイマー型認知症の新たな治療薬レケンビ「成分名:レカネマブ」の登場は、認知症の「症状緩和」が中心だった時代から「原因治療」の時代へと移る転換点だと評価されている。これまでの薬は記憶力低下や行動面の症状の進行を一時的に遅らせるというレベルだったが、レケンビはアルツハイマー病の主な原因物質とされている脳内の「アミロイドベータ」というタンパク質を除去する第一世代治療薬だからだ。これについて韓国の..
続き読む
アルツハイマー型認知症の新たな治療薬レケンビ「成分名:レカネマブ」の登場は、認知症の「症状緩和」が中心だった時代から「原因治療」の時代へと移る転換点だと評価されている。これまでの薬は記憶力低下や行動面の症状の進行を一時的に遅らせるというレベルだったが、レケンビはアルツハイマー病の主な原因物質とされている脳内の「アミロイドベータ」というタンパク質を除去する第一世代治療薬だからだ。これについて韓国の医療界は、韓国人患者に対してレケンビがいかなる効果と副作用をもたらすのか注目してきた。今回、韓国国内の病院で韓国人患者を対象に実施されたレケンビ投与の結果が初めて公表された。
■一日1万歩は忘れて…30分で終わる話題の「日本式ウオーキング」とは?
高麗大学九老病院神経科のカン・ソンフン教授チームは、韓国で市販開始後の2024年12月から26年3月にかけて、初期アルツハイマー病患者164人を対象に行ったレケンビ治療の経過を発表した。患者の平均年齢は72.9歳で、約79%は臨床認知症評価尺度(CDR)0.5レベルの初期患者だった。初期患者とは、記憶力の低下が始まっているものの、日常生活はある程度可能な軽度認知障害または初期認知症の段階の患者だ。
1年以上治療を続けた患者57人をカン・ソンフン教授チームが分析した結果、簡易認知機能検査(MMSE、ミニメンタルステート検査)の点数が変わらなかったか、むしろ改善した患者は53%だった。また、認知症の重症度を評価する点数が悪化しなかった患者も55%に達した。特に、認知症の初期段階の患者ほど認知機能が低下する速度が遅かった。カン教授は「レケンビは記憶力を元通りにする『奇跡の治療薬』ではないが、半数以上の患者にとって病気の進行速度を遅らせる上で意味のある役割を果たした」と説明した。
レケンビは深刻な副作用がなく比較的安定的に使用できるということも分かった。全患者の約22%で発熱、疲労感、頭痛などの症状が現れたが、ほとんどは軽微なレベルだった。これらの症状は初回投与の際に最も多く発生し、その後治療を続けていくうちに発生頻度は下がる傾向にあった。
レケンビ治療で医療陣が最も注目したのは、脳でアミロイドが除去される過程で発生しうる脳の異常反応だった。MRI(磁気共鳴画像法)による追跡が可能だった146人を調べた結果、脳浮腫(脳のむくみ)系は4.8%、微細な出血などが9.6%だったが、ほとんどの患者は症状が出なかったか、軽微な症状にとどまった。
ただし、治療対象は限定的だ。レケンビは軽度認知障害と初期認知症の患者には効果が期待されるが、すでに脳細胞の損傷が広範囲に進んでいるケースでは効果が限定的になる可能性が高い。
レケンビは点滴で静脈内に注射するもので、2週間に1回病院に行かなければならない。定期的なMRI検査も必要だ。18回の投与で患者が負担する薬代は4000万-5000万ウォン(約423万-530万円)に上る。健康保険の適用対象外であるため患者と家族の負担は少なくない。
それでも医療界はレケンビの登場が認知症治療の重要な転換点となるとみている。これまで認知症治療は症状が悪化してから対応する方法が主だったが、今後は認知症リスク群を早期に積極的に発見し、初期の段階から病気の進行自体を遅らせる治療が実現することになるからだ。
金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com