不買運動の収束前に放射能騒ぎまで…トヨタ受難時代

 日本製品不買運動の直撃弾を受けていたトヨタが、放射能問題に行く手を阻まれた。ロシアに輸入されたトヨタの自動車から基準値を超える放射性物質が検出されたことを受け、韓国政府はトヨタの自動車に対する放射能検査を強化することを決めた。

 自動車業界と関税庁が30日に明らかにしたところによると、関税庁は23日からトヨタの自動車を、「放射能虞犯(ぐはん)貨物品目」に指定した。

 ロシア・ウラジオストクの税関は21日午後、トヨタのプリウス・ハイブリッド1台から基準値を超える放射性物質(ベータ線)を検出したと発表していた。2017年以降、日本の車両から基準値を超える放射性物質が検出されたのは初めてだが、福島の事故の余波が依然として続いていることが把握され、物議を醸した。

 関税庁はこれまで、日本の福島原発事故の地点から半径250キロ以内の空港・港湾で積み込まれて輸入される工業製品の5%を無作為に選び、携帯用の放射能測定器で検査を実施してきた。関税庁は今回、放射性物質が検出される恐れのある貨物品目に指定したことで、より多くの割合のトヨタ車両を検査することになるとみられる。

 関税庁側は「貨物の品目や標本検査率は公開しかねるが、今後輸入される車両から該当の基準を適用する予定」だとして「日本車全般に検査が拡大するかどうかは現時点で表明するのは困難」と述べた。

 トヨタは昨年、日本製品不買運動で大きな打撃を受けた。韓国輸入自動車協会(KAIDA)によると、昨年国内で販売された日本車は計3万6661台で、前年比で19%減少した。トヨタの販売台数も18年の1万6744台から昨年は1万611台へと36%減少するなど不振を免れなかった。

 トヨタは21日、不買運動以降初めて新車発表会を開催し、ムードを反転させようとした。トヨタが発売した新車は17年ぶりに復活したスポーツカー「GRスープラ」で、自動車業界では日本製品不買運動のムードを把握する手掛かりになるという分析が出ていた。

 しかしトヨタは今回の放射能問題で再び不確実な状況に陥った。消費者は2011年の地震・津波発生時、トヨタの自動車工場が福島に近い宮城にあるとして懸念を示していた。輸出用の小型車や部品類を生産してきた東北工場や岩手工場も原発まで距離が100キロほどしかなく、トヨタをはじめ日本車購入を思いとどまる顧客が多かった。

 トヨタ側は、現在の状況と今後の計画については明言を避けた。トヨタ・コリア側は「日本の本社に連絡し、事実関係を確認中」として「内容を把握した上で検討したい」と説明した。

アン・ソヨン記者
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