2015年に一人で韓国に渡ってきたディムドゥさんは、裁判中は出国が禁止され、6年間母国を訪れることができていない。心臓病を患う母親マルガンディさん(52)、脳神経の問題で手の震えがひどい父親ジャヤウィルさん(55)のことをよく思い出すという。事故直後の1カ月間は寂しくて一晩中泣き、今も頭痛と不眠症に苦しんでいるという。「『ディムドゥさんの誤りではない』という世論もある」と言うと、彼は「そう言ってくれるのはありがたいが、間違いは間違いだ。ただ、わざとやったのではないということだけ、分かってもらえればうれしい」と語った。
彼の稼ぎは月に200万ウォン(約19万7000円)ほど。罰金1000万ウォンも、一生懸命お金を集めれば払える金額だ。彼が心配しているのは金額よりも、罰金刑そのものだ。裁判が終わって罰金を払えば出国禁止が解かれ、スリランカに戻ることができるが、罰金刑の前科があるせいで就職ビザを再度取ることはできない。韓国に戻れなくなるのだ。
韓国が好きで国籍取得を夢見ていた彼の中に、まだ韓国は「ありがたい国」として残っている。ディムドゥさんは別れ際にこう語った。「韓国に来てお金を稼いでる立場で、こんな大きな問題を起こしてしまって申し訳ない。仕事も一生懸命やって、きちんと生活しようと思っていたけど、なぜこれを飛ばしたのか分からない。裁判が終わったら、スリランカに行って両親の顔を見たい。私は間違いを犯したけれど、弁護士さん、会社の同僚、みんなとても助けてくれて感謝している。韓国人の皆さん、ありがとうございます」
シン・ジイン記者