韓国政府が脱石炭の時期を巡って右往左往しているのは、これまで何度もCO2削減目標を引き上げる過程で、石炭火力発電所を過度に早く廃止するとしたことに伴う負担が原因とみられる。韓国政府は、昨年の第9次電力需給基本計画で「2034年までに石炭火力発電所30基を転換・閉鎖する」と決定したのに続き、先月確定した2030年国家温室効果ガス削減目標(NDC)を通して、15基前後を追加閉鎖することとした。これについて、エネルギーの専門家らは「急激に新再生エネルギー源を増やして石炭火発を早期に退出させたら、安定的に電気を供給する上で問題が生じかねない」と指摘している。
文大統領がCOP26演説で「韓国は2030NDCを引き上げて2018年比“40%以上”の温室効果ガスを削減する」と語ったことも物議を醸した。「国務会議(閣議に相当)で通過させた『40%』NDCから、事実上『40%以上』へと目標をさらに高めたのではないか」という見方が相次いだからだ。環境部の韓貞愛(ハン・ジョンエ)長官は「われわれは40%を目標にしたが、これは最小限のもの」とし「(文大統領は)40%を目標とし、それ以上までもできるようにしよう、という意思を表明した」と語った。
韓国政府は今年初めまでの時点で、2030年NDCを「30%」程度で検討していたが、与野党が国会で「35%以上」と決定し、続いて文大統領が炭素中立委員会での検討の最中に「40%」に高めるべきだと指示。これにより産業界などから「果たして実現可能な目標なのか」と反発を買った。
韓国がNDCを従来の26.3%から40%へと急激に引き上げる一方、今年の燃料費高騰や新型コロナの状況を受け、主要各国はほとんどNDC引き上げに乗り出さなかった。これにより気候変動枠組み条約の各当事国は、来年エジプトで開かれるCOP27であらためてNDCを引き上げて提出すると決定した。すると「韓国だけが2年連続でNDC引き上げの負担を抱えるのではないか」という声が出た。これに対し韓国政府の関係者は「40%というNDCも、韓国の産業の現実を考慮すると極めて挑戦的な目標を提示したものであって、進むべき道は遠い」とし「来年再びNDCを高めることはないだろう」と語った。産業界では「国内のCO2削減負担と国際社会のCO2削減圧力の間で韓国政府がまごついているせいで、さらに混乱している」という反応だ。
宣政敏(ソン・ジョンミン)記者